2013.6.1 08:00
太陽光発電協会が31日発表した2012年度の太陽電池の国内出荷量(発電能力ベース)は前年度の2.7倍の380万9451キロワットで過去最高になった。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が昨年7月からスタートし、市場が急拡大している。ビジネスチャンスを見込み、中国大手のジンコ・ソーラーが日本に拠点を開設するなど、メーカー間の競争は激しくなっている。
市場が大きく伸びたのは、買い取り制度を受け、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設が各地で相次いだためだ。
再生エネルギーを普及させようと、12年度は太陽光発電の買い取り価格が1キロワット時当たり42円と割高に設定され、多くの企業が参入した。
用途別の出荷量は、発電事業用など「非住宅」が前年度の9.9倍の193万7671キロワットと急増。前年度比55%増の186万8969キロワットだった「住宅用」を上回った。
国内出荷量のうち、輸入製品(日本企業が海外で生産した分も含む)は前年度の5倍の152万8066キロワットで、国産品は2倍の228万1385キロワット。低価格を売りに海外メーカーが存在感を増しており、モジュールでは海外企業からの輸入は86万8805キロワットと、国内出荷量の約2割を占めた。
太陽電池市場は各国政府の支援策などを追い風に世界で拡大しているが、中国など新興国メーカーの参入で価格競争が激化。昨年4月には、かつて世界トップだった独Qセルズが破綻。
世界最大手となった中国サンテックパワーでさえ、過剰投資や欧米市場の不振で、今年3月に破産手続きに入った。
これまで国内では、シャープやパナソニックなど日本メーカーがブランド力やサービス網を売りに一定のシェアを確保してきた。だが、メガソーラーの建設や住宅への導入を当て込んで、中国メーカーなどが相次いで参入。今年3月に東京に日本オフィスを設立したジンコは「日本は魅力的な市場」として、今年の販売目標を約15万キロワットに設定する。
このため、日本勢は海外工場からの製品の逆輸入でコストを抑えたり、「発電所の設計から建設までをトータルで担当する」(シャープ)などして、シェアを確保する考えだ。