持病のある子供の育児などを理由に転勤を伴う配置転換命令に応じず懲戒解雇されたのは違法だとして、大手電機メーカー「NEC」子会社の元社員の男性(55)が解雇の無効確認などを求めた訴訟の判決が29日、大阪地裁であった。中山誠一裁判長は「配転命令は権利乱用とはいえず、懲戒解雇も合理性がある」として男性の訴えを棄却した。
原告は、NECソリューションイノベータ(東京)に勤め、大阪市内の別の子会社の事務所に出向していた中正司(なかしょうじ)光幸さん。訴状などによると事務所閉鎖に伴い、会社から関東への配転か希望退職かを迫られ、嘔吐(おうと)などの症状が出る持病がある長男(13)の育児などを理由に配転を拒否したところ、懲戒解雇されたと訴えていた。
判決理由で中山裁判長は、業務効率化などの観点から中正司さんに対する配転命令は「業務上の必要があった」として有効と指摘。長男の持病の状態などを考慮しても「通常甘受すべき程度を著しく超える不利益があるとはいえない」とした。その上で、就業規則に基づき配転命令に応じないことを理由とした懲戒解雇は「社会通念上も相当なものといえ、権利乱用にはあたらない」と述べた。
判決後、会見した中正司さんは育児の負担などを軽視した「不当な判決だ」と述べ、控訴する意向を示した。