新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要を追い風に、即席めん製造・販売のマルタイ(福岡市西区)がユニークな企画で攻勢をかけている。若手社員による斬新な商品開発や異業種との連携企画で新たな客層を開拓し、「九州の定番」から全国への浸透も狙う。同社は「米のようにいつでも食べてもらえるポジションを目指す」と意気込む。
同社は今月11日、一日を通してラーメンを味わえるセット「1day marutai(1日マルタイ)」を発売した。ラーメン4種類と、かやくをおつまみにした5食セットで、パッケージには食べてほしい時間を表記している。
昼食用には定番の棒ラーメンを用意。朝食用は「味噌(みそ)汁風ラーメン」、夕食用に本格豚骨スープの「稗田(ひえだ)の博多豚骨拉麺」をそろえた。午後3時の箱に入ったピスタチオ味は、香ばしい香りが特徴の同社初の味だ。おやつ感覚で食べてもらおうと、入社2年目の社員が考案した。
販売開始以来、売れ行きは好調で、すでに目標金額の2倍以上を売り上げているという。
「昼か夜に食べるラーメンのイメージを変えたい」。開発の背景にはこうした狙いがある。昨年1月、需要の拡大には発想の転換が必要と、若手社員による開発チームを発足。商品化の第1弾として昨年秋、棒ラーメンのパッケージを本に見立てたデザインにして、インテリアとしても楽しめるよう売り出した。
第2弾の今回は「米と同じように朝から晩まで付き合えるラーメン」を掲げ、食べる機会が少ない朝食やおやつ用を提案した。
九州外の異業種と連携した企画で、関東や関西への浸透も図る。
商品の販売を開始した「11月11日」は、棒ラーメンの形に似た数字の「1」にちなみ、マルタイが独自に「棒ラーメンの日」と定めている。同社はこの日を盛り上げたいと、同じ日を記念日とする企業などと、共通のロゴをつくる合同キャンペーンを実施した。
同社のほか、磁気治療器「ピップエレキバン」を手がける「ピップ」(大阪市)、スナック菓子「うまい棒」を販売する「やおきん」(東京)、臨床検査の広報活動をする「臨床検査振興協議会」(同)が参加した。
マルタイによると、コロナ下での在宅時間の増加で棒ラーメンの売り上げは堅調に推移している。テレワークの定着もあり、今後も一定の需要が見込めるとして、新たな切り口で若い世代や認知度が低い九州外の地域にアピールする。同社は「ラーメンとの付き合い方に革命を起こす」と力を込める。
「1day marutai」は来年1月11日までの期間限定で、インターネットサイトの「Makuake」で販売している。定価は3500円(税込、送料込み)。(一居真由子)