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ジョブズに招かれた日本人が開発した「意図予測」の検索精度がすごかった (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 「ただいま、電話が大変混みあっています」。製品やサービスについて問い合わせるために企業のコールセンターに電話すると、何度も聞かされる自動応答メッセージのフレーズだ。よくある質問と回答を掲載したFAQページで検索してみても望む答えは見つからず、自動応答システムの「チャットボット」に質問したところで埒(らち)が明かない。結局は辛抱強くコールセンターの順番を待ち、人間のオペレーターに頼ることになった、という経験をした人も多いだろう。だが、「意図予測検索」という画期的な技術を採用したFAQページなら、困りごとを入力すれば、98%の精度で適切な質問と回答の組み合わせがヒットするという。「さすがに盛りすぎでは?」とも思える謳(うた)い文句。本当に、ユーザーのあらゆる疑問に答えることができる裏付けはあるのか。

 「ハンコなくsた」入力ミスにも対応

 「ハンコなくsた」。意図予測検索のシステムを導入している伊予銀行(愛媛県)のホームページの「よくあるご質問」の検索窓にこんな文字を入力してみた。アルファベットの「s」は「し」と入力しようとして誤ったという想定。ぶっきらぼうな問い合わせに“機械”はどう反応するのか試す狙いだ。結果は「ハンコをなくしたのですが、どこに連絡したらいいですか」「ハンコなどを盗まれた場合の連絡先を知りたい」「口座のハンコがどれだったか忘れた」「口座開設に使用したハンコをなくしたので変更できますか」と4つの質問が瞬時に表示された。

 正確に言えば、文字を入力している途中から、質問候補が次々と提示されていたから、スマートフォンで文字を入力する際の予測変換機能に近い。しかも、いずれも的確である。団体信用生命保険の略称である「団信」と入力すれば、「投薬を受けているため、住宅ローンの団信に加入できるか不安です」といった質問も候補として提示される。想像していたよりもかなり賢い印象だ。

 この意図予測検索は「Helpfeel」(ヘルプフィール)と呼ばれるシステムで、ソフトウエアをネット経由で提供する「SaaS」(サース)事業を手がける京都市のNotaが開発した。最高経営責任者(CEO)の洛西一周さんは「これまでのFAQの検索機能はおまけ程度で、多くはメニューから選んでくるというものでした。ヘルプフィールは適切な質問にたどり着かせることができるのが特徴。iPhone(アイフォーン)の予測入力と同じように動きます」と語る。同社の最高技術責任者(CTO)を務める増井俊之・慶應大教授は、故スティーブ・ジョブズ氏に招かれて米アップルに入社し、iPhoneの日本語入力システムを開発したユーザーインターフェースの第一人者だ。

 意図予測検索は、人工知能(AI)を使った自動応答システム「チャットボット」とは似て非なるもの。チャットボットでは「なくsた」といった誤入力や曖昧な質問を理解することはできないという。例えば、「ハンコをなくしたので困っている」という質問では、「困っている」というキーワードに引っ張られ、ユーザーの望んでいる内容とは異なる質問・回答に誘導されてしまうことも。これに対し、ヘルプフィールは「質問を作ることを助ける。適切な質問にたどり着かせること」(洛西さん)を目的に設計されているそうだ。

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