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ガソリン高対策、元売り補助金の効果は疑問

 経済産業省が17日発表した15日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、8日時点の前回調査と比べて10銭安い168円90銭と、11週ぶりに値下がりしたが依然、約7年3カ月ぶりの高値圏が続く。政府は燃料価格高騰の抑制のため、石油元売り業者へ原資となる資金を支給する対策を検討中だが、その効果には懐疑的な見方が出ており、小売りの現場に混乱を招く恐れがある。

 経産省によるとガソリン価格は下がったが、灯油は11週連続の値上がり。18リットル(一般的なタンク1個分)当たりの価格は1円高い1950円と約13年1カ月ぶりの高値となり、暖房需要が盛り上がる冬場の家計に打撃となりそうだ。

 政府は19日に決定する経済対策に、元売り業者が卸売価格の上昇を抑える分のお金を国が補助し、ガソリンや灯油など燃料の小売価格の急騰を抑制する時限的措置を盛り込む方針。具体的には、ガソリンの場合は全国平均小売価格が1リットル当たり170円を超えた際に発動し、最大5円を抑制する案があり、年内の開始を目指す。

 だが、この措置に対し有識者からは懐疑的な声が上がる。石油流通システムに詳しい桃山学院大学経営学部の小嶌正稔(こじま・まさとし)教授は「どういう制度になるか次第だが、効果は極めて限定的ではないか」と指摘する。

 経産省によると、国内の給油所の数は令和2年度末時点で約2万9千カ所。ただ、約7割は小規模の業者が占め、経営状態も異なる。元売り業者が卸売価格を抑えても、経営が苦しい給油所が小売価格に反映させなければ、消費者に恩恵は及ばなくなる。

 一方、給油所の経営者でつくる石油販売業者の団体の幹部は「(今回の措置で)給油所は混乱するのではないか」と危惧する。

 卸売価格の小売価格への反映は、給油所の店頭在庫次第という側面もあるからだ。幹線道路沿いの利用客が多い給油所は在庫回転が早く、卸売価格が抑制された新たなガソリンが入ってくる半面、在庫回転が遅い郊外の給油所ではなかなか小売価格が下がらないといった差が生じかねない。

 政府の措置は市場をゆがめるとの心配は根強く、小嶌教授は「元売り業者を通じてやる限りは、市場価格に介入したのに等しい」とし、「(ガソリンなどに課されている)税金を下げるといった手法のほうが、だれがみても分かる形になる」との見方を示した。

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