鈴木恵社長に聞く
--新型コロナウイルス禍で生活スタイルは変化しているが、食用塩市場はどうか
「われわれが販売している『天塩』の場合、家庭用に関しては横ばいが続いているものの、業務用市場は昨年から落ち込んでいる。特に外食向けは厳しい状況だ。ただ、飲食店も本格的に再稼働し始めている。これに合わせ、販売促進活動も本格的に再開することにしている」
--具体的な施策は
「認知度向上への取り組みとして、来年1月下旬に東京都新宿区の自社スタジオで『わくわくマルシェ』と題するイベントを開催する。無農薬の秋野菜の販売や天塩を使ったキムチ、パン、パウンドケーキなどを提供することにしている。また、このスタジオで天塩を使う料理教室なども再開。学校に出向いてみそやだしを作る体験教室も実施する。こうしたイベントを通じ、消費者に天塩を再認識してもらい、利用拡大に結び付けたい」
--将来展望はどうか
「まずはコロナ禍からの回復を進めていくが、人口減少などが進む国内市場では長期的な需要拡大は見込めないだろう。このため、塩を軸としつつも、“食”をテーマとして周辺分野への事業拡大を検討していきたい。(総合的な)食品メーカーを目指すというわけではないが、まずは農産物や水産物に関係する分野などで第2の経営の柱となりうるビジネスの創出を模索したい」
【プロフィル】すずき・さとし 金沢工大工卒。橋梁(きょうりょう)建築業を経て昭和62年、赤穂化成入社。平成29年、天塩取締役執行役員。30年から現職。令和2年、日本特殊製法塩協会会長。兵庫県出身。