新しい働き方が浸透し、新型コロナウイルスの感染者数は全国的に低い水準が続いている。リモートワークを継続して採用するという企業は少なくないが、年配の役職員がオンライン会議での「マナー」を意識していないといった声もあるようだ。会議の進行の妨げにもなりかねない問題ではあるが、“力技”で解決しようとする企業も現れている。
NTTドコモのモバイル社会研究所がオンライン会議の際に意識しているマナー行動を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「話をしていないときにはミュートにしている」(42.7%)だった。2位以降には「遅れないように事前に接続して準備している」(40.8%)、「家族やプライベートなものが映らないように配慮する」(34.7%)、「相手の顔を映すことを強要しない」(28.9%)「相手と会話が被らないように心がけている」(28.7%)などが並んだ。
「特に何もしていない」は全体の16.9%にとどまったが、回答者を年代別にみると60代が30.0%、70代が35.3%でほかの世代より高い数値を示した。「話をしていない時にはミュートにしている」についても同様に60代は35.0%、70代は8.2%で、とりわけシニア層にオンライン会議のマナーが浸透していない傾向がうかがえる。
コロナ禍で一気に広がったオンライン会議。「新しいマナー」を押し付けることはできないが、仕事の効率化を阻害する要素はなるべく減らしたいもの。例えば、オンライン会議の画面がパソコンのモニターを専有してしまうのは問題だろう。
相手の顔や画面で共有してもらった資料を大きく表示させると、ほかの会議資料やウェブページを表示できるスペースはその分狭くなる。ウインドーを切り替え、資料の確認に気を取られて他人の話を聞き逃してしまうと、マナーの問題だけでなく会議の進行を妨げることにもなりかねないためだ。
オフラインで話し合う場合はノートパソコンを持参することが一般化しているが、そのノートパソコンをオンライン会議のツールとして使うと、オフライン会議におけるノートパソコンの役割を何かで代行しなくてはならない。
こうした問題の解決策として、家具大手のイケア・ジャパンは、オンライン会議に集中できるよう、1台のパソコンを2台のモニターにつなぐデュアルモニターを千葉県船橋市の本社オフィスに導入した。1台のモニターでオンライン会議に参加しつつ、もう1台のモニターで資料やページを開けばスムーズに仕事を進められるというわけだ。
いわば“作業台”を広げるだけの単純な解決策だが、パソコン大手のDELLはデュアルモニターや横幅が通常の2倍近くあるモニターを使うことで生産性が向上するとしており、今後もリモートワークが続くビジネスパーソンには一考の価値があるだろう。設置するにはデスクのスペースを確保する必要があるが、近年はコンパクトなタブレット端末をパソコンの「サブディスプレイ」として使えることが多いため、以前より導入しやすくなっているといえそうだ。