レジ袋の有料化から1年以上が経過し、外食や買い物の際に環境問題を意識する機会が大きく増えた。企業の間ではバイオマス素材の活用を進めて環境への配慮を強化する新たな動きがあるほか、消費者側でもレジ袋の受け取りを辞退する傾向が強まるなど、ライフスタイルに変化が出ている。一方、レジ袋有料化をめぐっては旗振り役だった小泉進次郎前環境相の退任にあわせて、環境問題を改善する効果が不透明だとする批判も噴出しているが、プラスチックごみ削減に向けた企業の取り組みは少しずつ個性的なものになりつつある。
「レジ袋」辞退率は7割越えも…
「店舗で無償配布するレジ袋のサイズはSとLの2種類。いずれも植物由来のバイオマス素材の配合率を30%から50%に引き上げました」
こう話すのは日本ケンタッキー・フライド・チキンの広報担当だ。
同社は昨年7月のレジ袋有料化にあわせてバイオマス素材の配合率を30%に引き上げ、環境省が無料配布をみとめる25%の基準をクリア済みだった。それでも今回、さらに配合率を上げるのは環境への負荷をさらに減らすためだ。
配合率と同時にレジ袋の厚さも見直し、強度を保ったままわずかに薄くすることに成功。クリスマスシーズンに人気のたる状の容器「バーレル」を入れる大きい袋は配合率50%の対象外だが、それでも前年比でプラスチックを115トン減らし、二酸化炭素排出量は17%削減できるという。
昨年7月には飲食店のテイクアウト販売でも原則的にレジ袋が有料となったが、新型コロナウイルス感染拡大で衛生意識が急速に高まる時期と重なったこともあり、多くの会社が素材を工夫するなどして有料化後も無償配布を続けた。
同時に小売店ではレジ袋をもらわない人が顕著に増加している。スーパーマーケットなどで構成する日本チェーンストア協会はレジ袋辞退率が昨年3月の57.21%から、今年3月には75.33%に上がったとしており、有料化の前後で消費者の行動が大きく変わったことが読み取れる。約20年前の2002年9月が8.03%だったことと比較すると隔世の感がある。
また、マイバッグ持参の習慣が根付かないと予想されていたコンビニエンスストアでもレジ袋辞退率が上がっている。客が買い物という明確な目的を持って訪れるスーパーと違い、コンビニではマイバッグを持たずにふらっと立ち寄るケースも多いが、日本フランチャイズチェーン協会によるとコンビニのレジ袋辞退率は有料化前の2020年3月~6月の28.3%から、有料化後の2020年7月~2021年2月には74.6%まで上がった。スーパーと同水準の数値だ。
国民のライススタイルに影響を与えたレジ袋の有料化だが、施策を推進した小泉氏の環境相退任の前後で機運が低下しているようだ。環境問題改善への効果が見えにくいこともあり、夕刊フジが7日から8日にかけて公式サイト・ZAKZAKのTwitterアカウントで行ったアンケートでは91.2%が「無料に戻すべき」と回答した。