蔭山秀一社長に聞く
--旗艦店「リーガロイヤルホテル」の足元の稼働状況は
「2~3割の客室稼働率と厳しいが、大阪市最大の全1039室を擁し、大規模ホテルの1棟分に相当する200~300室が稼働している計算となる。コロナ禍でも一定の利用はある」
--長期滞在の宿泊が増えている
「4月に始めた長期滞在型宿泊プランは、対象とする61室の6~7割が稼働し好評だ。転勤などの際に引っ越しまでの仮住まいにしたいとの需要が多い。日帰りで客室を使うプランも新型コロナウイルスワクチン接種後の休憩利用が毎日のようにあり、客室の使い方もさまざまだと改めて気付かされた」
--介護施設と組んでの長期滞在プランも打ち出した
「コロナ禍で生じた余剰スペースをテナント事業に生かす狙いもあって通所介護(デイサービス)施設を10月、当ホテルへ誘致した。脳卒中後遺症のリハビリ施設も合わせ、泊まりながら鍼灸(しんきゅう)と理学療法士によるケア、専用機器での歩行訓練など集中的にリハビリを受けられる。お客さまへの新たなサービスになると考えている」
--宿泊市場回復への道筋は
「ホテル会員プログラムを4月に刷新し、会員専用のスマートフォンアプリも8月に導入した。今後、顧客属性や嗜好(しこう)を細かく分析できるようにし、ホテルの利便性や発信力を高めて業績を上げたい。緊急事態宣言が解除されたが地方リゾート地に人気が集まり、大阪市内は回復に時間を要しそうだ。一方、令和7年開催の大阪・関西万博や、統合型リゾート施設(IR)開業の好材料もある。この準備に向け、ホテルでは幹部クラスを中心に長期出張需要が出るとみている」
【プロフィル】かげやま・しゅういち 神戸大経卒。昭和54年住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、副会長などを経て平成29年6月よりロイヤルホテル社長。大阪府出身。