金融

東京原油、3年ぶり高値 家計に負担増

 18日の東京商品取引所で中東産原油の先物価格が上昇し、平成30年10月以来3年ぶりに節目の5万7千円を超えた。株価終値に相当する指標の清算値は1キロリットル当たり前週末比690円高の5万7080円。原油価格の高騰を受けて政府も同日、関係閣僚会議を開き対応に乗り出したが、原油価格の上昇基調が長引けば電気料金や航空運賃など暮らしのさまざまな場面で負担増が見込まれる。

 11月の電気料金は標準的な家庭で、前年同月比で東京電力が14・0%、中部電力が11・6%、関西電力が8・0%、それぞれ上昇となる。足元の原油高は時間差を伴ってさらに電気料金を押し上げそう。東京、東邦、大阪、西部の大手都市ガス4社も11月は前年同月比9・6~6・0%の上昇だ。

 石油化学製品の基礎原料となるナフサ(粗製ガソリン)の価格も上昇傾向で、製品の取引先への価格転嫁が進まない場合は化学メーカーの収益が圧迫されかねない。また、タイヤに石油由来の合成ゴムを使うブリヂストンは「原油高騰の影響が出てくるのには数カ月かかる」とした上で、「コスト低減の努力をしていきたい」と影響を警戒する。

 また、国際線の利用客が航空券の購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、日本航空は来年2~3月発券分が上昇する可能性があるとみる。「足元の原油価格の急上昇が今後も続けば、航空事業の収支に影響する可能性が出てくる」と語る。

 野村総合研究所の木内登英(たかひで)エグゼクティブ・エコノミストは18日、年初からの原油高と輸入価格の上昇につながる為替相場の円安の影響を合計すると、短期的に実質個人消費は0・89%押し下げられる計算だと指摘。新型コロナウイルス禍からの経済回復を遅らせるリスクになるとの見方を示した。

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