19日開幕のデジタル家電やITの国内最大の見本市「CEATEC(シーテック)」は2年連続でオンライン開催となり、これまで主に商談の場として活用していた電子部品各社が、一般消費者や取引のなかった企業をターゲットにした商品PRに注力している。照明と風を組み合わせた快適な目覚めの研究や、新型コロナウイルス対策関連商品などを動画付きで分かりやすく展示し、新規顧客の開拓につなげたい考えだ。
京セラは13日、シーテックで公開を予定する最新技術や商品を発表した。ダイキン工業と共同で研究した「パフォーマンス向上起床システム」は、起床時間になると空気の渦を顔にやさしく当てるとともに、太陽光に近い発光ダイオード(LED)照明によって快適な寝覚めを提供するシステム。東北大加齢医学研究所が学生20人を対象に実施した実験では、同システムで起床すると通常の目覚まし時計と比べ、起床直後の認知機能や気分が改善することが確認された。
「わかりやすい字幕表示システム」は、聞き取りづらいアクリル板越しの会話を助ける新商品。透明なスクリーンを貼り付けることで既存のアクリル板に音声をリアルタイムで字幕表示でき、市役所などの窓口での活用が期待される。
村田製作所は、一般消費者向けに二酸化炭素濃度を計測して換気のタイミングを通知する「AIRSual(エアジュアル)」を出展予定。次の換気までの時間を予測する機能も備えており、クラスター対策などへの効果が期待される。
ニチコンも電気自動車などから家庭へ電気を供給できる製品を出展予定で、温室効果ガス排出量の実質ゼロ実現へ向けた動画とともに自社製品をPRする。
シーテック実施協議会によると、初のオンライン開催となった昨年は延べ約15万人が来場。幕張メッセ(千葉市)で開催していたときと比べて遠方からの参加が増えている。電子部品メーカーのなかには、これまで取引のなかった企業との接点ができた事例もあったという。このため各社は商品の内容を丁寧に解説する動画や専用サイトを作るなど、新規顧客に向けた分かりやすさを重視した展示にシフトしている。
京セラの担当者は「今年は商品紹介だけでなく、プレゼンテーションの動画を増やした。オンラインの特性を生かし、多くの人に自社の魅力を伝えたい」と話している。(桑島浩任)