渡辺剛史副部長に聞く
--太陽光発電パネルの中古品流通事業に乗り出す
「大きく分けて2つある。1つは使用済みパネルの情報を管理するプラットフォームの構築だ。使用済みパネルが生み出されてから回収し、検査を経てリユース(再利用)できるようにするまでの履歴や検査の合否といった情報を一元管理できるものだ。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使って情報改竄(かいざん)を防ぐ手法についても検証する。もう1つはリユース市場の創出だ。パネル情報を共有できるウェブサイトを2022年度にも作って取引の場とする。こうした市場は国内外で例がない
--事業化の背景は
「太陽光発電は急速に普及しているが、今後は使用済みパネルの廃棄が問題になる。全国の太陽光発電所で交換時期を迎えるパネルは20年で2800トン。製品寿命を20年とすると、30年代半ばには80万トンと300倍近くに増える見通しだ。家電リサイクルの処分量より20万トンも多い」
--中古品流通でどんな効果が期待できるのか
「リユース取引の活性化やリサイクルの促進はもちろん、原材料の循環利用や産業廃棄物の埋め立て処分量の削減につながる。日本、特に首都圏では産業廃棄物の処理スペースに限りがあるので意義は大きい。またリユース品が新品の代わりに使われれば、パネル製造時に排出するCO2の実質削減にもなる」
--丸紅は太陽光発電事業を手掛けている
「アラブ首長国連邦(UAE)では原発1基分に相当する世界最大の太陽光発電所を運営しており、日本にも大規模太陽光発電所(メガソーラー)がある。こうした事業で売電収入を得ているが、電力事業者である以上はリサイクルまで踏み込む責任があると考えた。新事業を通じて循環型社会の実現に貢献していきたい」
【プロフィル】わたなべ・たけし 慶応大経済卒。1995年丸紅入社。丸紅パワー&インフラシステムズでアフリカなどでの発電所建設を担当した後、2018年から現職。埼玉県出身。