新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置が30日の期限で全面解除された。行動制限は段階的に緩和されていく可能性があるが、ビジネスパーソンが望む「コロナ禍明け」の働き方はどのようなものなのだろうか。
出社と在宅と“ハイブリッド”望む声
ITの力で地方創生を目指している「LASSIC」は、テレワークを経験したことがある20~65歳のビジネスパーソン1035人を対象に調査を実施。テレワークの実施率は男性で34.8%、女性で27.9%だった。全体でみると3割程度だが、東京都内の企業に限定すると、8月のテレワーク実施率は65%に達しており、日本で長年普及してこなかった在宅勤務が、コロナ禍で一気に浸透したことが分かった。
テレワークは、ビジネスパーソンが描く“アフターコロナ”の働き方の理想形でもあるようだ。ワクチン接種後に希望する働き方で最も多かったのは「完全テレワーク」の31.7%。次いで「週2日のテレワーク」で17.9%だった。「週3日のテレワーク」(13.7%)、「月に数日のテレワーク」(11.3%)、「週4日のテレワーク」(10.1%)、「週1日のテレワーク」(10.0%)と続いた。テレワークの継続を希望する声が9割以上を占めた。
これに対し、「完全オフィスワーク」に戻ることを望む声は5.2%にとどまり、コロナ禍の収束後も出社とテレワークを組み合わせた“ハイブリッド”型の働き方を望む人が多いことがうかがえる。
レンタルオフィスやコワーキングスペースといった「フレキシブルオフィス」を手掛ける「WeWork Japan」(東京)が一般従業員500人を対象に行った調査では、最も生産性が上がると思う働き場所について「本社オフィスと自宅を選択」するとの回答が38.4%と約4割を占めた。「いつ・どこで・どのように」働くかを自分で決めたいと答えた人は8割に上り、働き方の裁量権を会社ではなく、働き手自身が持つことへのニーズも高まっている。
一方、在宅勤務やワーケーションなど働き方が多様化すると、飲み会などを通じた従業員同士の交流を図る機会も減少するとみる向きもある。アフターコロナの飲み会について年代別に聞いたLASSICの調査によると、「飲み会は参加しない」との回答が全年代共通して最も多かった。さらに「頻度は戻したくない」「どちらかと言えば、頻度は戻したくない」と“飲みにケーション”重視の社会に戻ることに否定的な回答が過半数を占め、「頻度を戻したい」と答えたのは全ての年代で2割にも満たなかった。