携帯電話を利用するシニア世代の4人に1人は、第3世代移動通信システム(3G)のサービスが2022年以降に順次終了することを知らないことが分かった。携帯大手3社は3Gの従来型携帯電話「フィーチャーフォン」(ガラケー)から、現行の高速通信に対応したスマートフォンへの乗り換えを促しているが、3Gサービス終了後も機種変更をせずに端末を使い続けてしまうケースもありそうだ。
知ってるようで知らない? 「3G」終了時期
3GについてはNTTドコモが2001年、世界に先駆けて「FOMA」のサービスを開始し、携帯電話でゲームや音楽を楽しむカルチャーが広がった。現在は後継の4Gが主流で、高速大容量の次世代通信規格5Gのエリア拡大が重要視されている。このため、利用者が減少した3Gサービスの維持が各社の課題になっていた。
ドコモは今年6月、ネットワーク設備の老朽化への対応などを理由に、2001年から2006年に発売した機種が一部の地域で使えなくなると発表した。
3G終了の時期は通信キャリアによって異なり、ドコモは2026年3月31日、ソフトバンクは2024年1月下旬、KDDI(au)は2022年3月31日。各社は2018年ごろから告知をしているが、市場調査のMMD研究所によると、ガラケーを普段遣いするシニア1119人のうち26.4%が3Gの終了を知らなかった。
利用している通信キャリアが3Gを終了する時期について「知っている」と答えたのは70.2%で、そのうち正しい時期を回答できたのは64.9%だった。
また、3G終了後にスマホに乗り換えるかを聞いたところ「検討している」が57.7%、「具体的には決めていない」が25.8%、「検討していない」が13.8%で、2.7%は「通信会社の解約を検討している」と答えた。
しかし、3Gサービスの終了が迫っていても、あわててスマホへの機種変更や解約を検討する必要がない場合もある。すべてのガラケーが使えなくなるわけではないからだ。多くのシニアユーザーを抱えるドコモの広報担当者はこう話す。
「現在、取り扱っているフィーチャーフォンの『ドコモケータイ』と『らくらくホン』は4Gと3Gに対応しています。両方に対応した端末であれば、3Gサービスが終わった後も4Gの回線で使い続けられます。ショートメールなどでお知らせしていますが、3Gのみでフィーチャーフォンを使う方は減っています」
ドコモに限らず、ソフトバンクとauも4Gと3Gに対応したガラケーを販売している。対策を講じる時間はまだあるため、スマホなどへの機種変更を検討する前に、利用中のガラケーが4Gに対応する機種かどうかを確認することが必要だろう。
スマホは現代人に必須アイテムになったが、端末代や通信料金が高くなりがちというデメリットも抱える。用途が通話やメールに絞られているなら、維持費やバッテリーの持ちに利点のあるガラケーを使い続ける選択肢が今後も残りそうだ。
調査はMMD研究所が8月27~31日、モバイル端末を所有している60~79歳の男女を対象にインターネットで行った。