一般カードやゴールドカードよりもステータスが高く、プレミアム感のあるサービスを特徴とするプラチナカードだが、その優待サービスとして新たに「社会貢献型」の特典を取り入れたクレジットカードが登場した。ユーシー(UC)カードがプラチナ会員向けに始めたサービスで、「食品ロス」の削減に取り組むネットショップ「WakeAi」(ワケアイ)での商品購入時に一定の割引を受けられるというもの。SDGs(持続可能な開発目標)など環境保全に対する意識が社会的に高まりを見せるなか、ユーシーカードは「時代のニーズに即したクレジットカードを提供したい」としている。
社会貢献を付加価値に
WakeAi(東京都港区)が運営する「社会貢献型通販モール WakeAi」とは、食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」の予備軍となった商品を、通常より安い価格で購入できるEC(電子商取引)プラットフォーム。「買って社会貢献、食べて社会貢献」を呼び声に、9月現在で約36万人ものユーザーからなるFacebookグループを形成し、昨年10月のサービス開始以降、累計注文数が18万件を突破。取引額は約9億円に上る。
さらに、最近は企業の福利厚生としてWakeAiを導入することで社会貢献活動(CSR活動)につなげるプラン「WakeAiウェルフェア」や、WakeAiの仕組みを活用してひとり親家庭を支援するフードバンク事業を手掛けるなど、食品ロス対策を基軸に様々なビジネスモデルを展開している。
このWakeAiのサービスを会員優待として取り入れた理由について、ユーシーカードの営業企画部プロモーション企画課の上土井裕一朗課長は「SDGsへの関心が高まる中、プラチナカードとしてお得感や限定感を訴求するだけでなく、気軽に社会貢献や社会テーマに取り組んでいただける内容をサービスの一つとして提供する必要があると考えた」という。
当初は全券種の会員を対象に展開を検討していたが、SDGsに対する関心が、一定以上の年収がある層でより高い傾向があるという調査結果などを踏まえ、最上位であるプラチナカード会員のみに限定した。
ユーシーカードではこれまで、ポイント交換による寄付を通じた社会活動や復興支援サポートなどに取り組んでいるが、「クレジットカード会社のみで取り組める範囲は狭く、WakeAiのような当社では手の届かない領域にアプローチしている企業の力を借りることで、SDGsの実現に向けた取り組みを強化できると考えている」(上土井課長)としている。
環境や社会に配慮した製品やサービスを選ぶ「エシカル」という考え方が消費のキーワードとなる中、会員特典としての社会貢献型サービスは、はたしてユーザーにとって新たな「付加価値」となり得るのだろうか。