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現職国会議員の汚職有罪判決・新型コロナ猛威…揺らぐIR計画、さらなる逆風

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で、現職の国会議員が有罪判決を受けたことは、横浜市の事実上撤退など構想が揺らぐIR整備計画への逆風をさらに強める可能性がある。

 「個別の事案に関する裁判所の判断に国土交通省として所感を述べることは差し控える」。赤羽一嘉国交相は7日の閣議後記者会見で、今回の判決についてそう述べるにとどめ、同省として自治体の選定作業を公正に進める決意を語った。

 IRをめぐっては、逆風続きの状況が続いている。

 誘致の是非が主な争点となった8月の横浜市長選で反対派の候補が当選し、東日本で唯一の候補地だった同市の撤退は不可避な状況だ。これで誘致を明言しているのは、大阪府・市、和歌山県、長崎県と西日本の3カ所に。政府が描いていた青写真とは大きく異なる形となった。

 また、その政府のトップでIR計画の旗振り役だった菅義偉首相が退陣を決めたことも、どの程度の影響を及ぼすのかは未知数だ。

 最大の逆風は依然として猛威を振るう新型コロナウイルスだ。東京都など今も態度を明らかにしていない自治体はあるが、この状況下でIR誘致に手を挙げるだけの大義名分を探すのは難しい。

 判決文は「(IR事業について)職務の公正および社会一般の信頼を大きく損なった」と指摘する。社会のカジノに対する不安感や嫌悪感が増長すれば、誘致表明済みの自治体でも反対の声が強まりかねない。

 国交省幹部は判決の影響について「事件に絡んだ業者がそのまま参入するわけではないし、候補地の計画への実害はあまりないだろう」と冷静に見る。ただ一方で「与党にもIRに否定的な人は多く、その声を強める可能性がある」として状況を注視している。(福田凉太郎)

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