成田市×歌舞伎

「成田屋」市川海老蔵が成田市で公演 JALグランドスタッフがコロナ感染防止対策に一役

 「成田屋」の屋号を名乗る歌舞伎俳優、市川海老蔵さんら(43)が2日、ゆかりの深い千葉県成田市で特別公演し、6役を早替わりで上演した。空の玄関口・成田空港のおひざ元だけに、会場では空港のグランドスタッフも新型コロナウイルスの感染防止対策に一役買い、公演をサポートした。

 感染防止対策を徹底

 成田市にある成田山新勝寺と市川團十郎家とは、初代團十郎が子の誕生を本尊の不動明王に祈願して以来の縁。江戸元禄以来、成田山不動尊信仰の絆で結ばれ、屋号「成田屋」の由来になっている。「感染対策を徹底したうえで何とか開催したい」。同市の意向に海老蔵さんが賛同し、特別公演が実現した。

 会場では「3密」回避のために左右1席ずつ座席があけられたほか、来場者には「連絡先記入票」の提出も求められた。万が一感染が発覚した場合、来場者に通知するという。制服に身を包んだ日本航空のグランドスタッフは、マスクに加えフェイスシールドで顔を覆い、手にはビニール手袋という厳重な姿。記入票を集めたり、来場者を会場内の座席まで案内したりするなど公演をバックアップしていた。

 演目は「通し狂言 命懸歌舞伎ノ道筋 三升(みます)先代萩 市川海老蔵六役早替り相勤め申し候」。江戸時代に仙台藩伊達家で実際に起こった「伊達騒動」をもとにした時代物の名作で、わが子を犠牲にして忠義を尽くし、幼い鶴千代君を守る乳人政岡や荒事で魅せる荒獅子男之助、妖術使いの大悪人・仁木弾正など、善悪を織り交ぜた主要な役を海老蔵さんが早替りでこなした。

 役者の屋号などを呼び掛ける「大向こう」は自粛を求められたが、公演を待ち望んでいた歌舞伎ファンらは海老蔵さんや役者に何度も拍手を送っていた。

 海老蔵さんは2015年、日本の伝統芸能・文化と連動しながら、成田の魅力を発信する「成田市御案内人」に任命され、例年2月に成田山新勝寺で行われる節分会で、長男の堀越勸玄(かんげん)ちゃんとともに「福は内」の掛け声に合わせて豆まきを行ってきた。

 しかし、今年は感染拡大防止の観点から海老蔵さんら著名人による豆まきが中止に。その代わり、3月20日に成田市で開かれた成人式では、サプライズでビデオメッセージを寄せていた。

 屋号ゆかりの地で実現した特別公演。海老蔵さんはファンらを前に「コロナ禍の中お越しいただき、ありがとうございます」としみじみと語った。

SankeiBiz編集部
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