--2040(令和22)年に四輪新車販売の全てを電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)とする目標を示した
「エンジンを開発してきたエンジニアはホンダの宝だ。しかし、競争力のあるパワーユニットをリードするため方向転換したことには揺らぎはない。日本市場ではハイブリッド車(HV)が最も有効で、世界的に見てもシェアが突出して高いが、EV技術で海外に後れをとっているわけではない。次世代の電池技術が国際的な競争の鍵となる。これからが本当の勝負だ」
--今年のシーズンを最後に自動車レース・フォーミュラワン(F1)から完全撤退する
「ほとんどのエンジニアが50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)という新たな目標に向かう。対象が変わっただけで、そこでも勝ちに行く。F1も時代とともにレギュレーション(規定)が変わっていく。そのときにホンダが参加すればいいのなら、そうすればいい」
--米ゼネラル・モーターズ(GM)以外との提携は
「スケールメリットを生かして電動化事業を成立させるためにGMとの提携を優先しているが、資本提携をしているわけではない。さまざまな産業が混ざり、新しいモビリティー産業が生まれるのは歓迎すべきことだ。EVに限らず、異業種と組むことで新しい価値を見いだせることは必ずある」
--「ホンダらしさ」の創出も大きな課題だ
「挑戦を続けてきた過程から現在の社内風土が生まれた。効率化の追求も悪いことではないが、高い目標に向けて守りから攻めに転じることで企業風土がまた生きる。アイデアを出し、目指す方向に行けば独創的な商品が生まれる」
みべ・としひろ 広島大院工学研究科修了。昭和62年ホンダ。常務執行役員、専務などを経て、令和3年4月から現職。