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「たけのこの里」立体商標登録 特許庁の“拒絶”を覆した明治の底力 (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 特許庁が、1979年に誕生した明治のチョコレート菓子「たけのこの里」の形状を立体商標として登録した。パッケージや商品名とのセットでなくても、たけのこの形をしたチョコ菓子が単独で保護されるようになる。姉妹品で75年生まれの「きのこの山」は2018年に登録済みで、冗談交じりで「国民を二分する」とまでいわれる人気商品の形状がそろって立体商標として認められたことになる。だが、その舞台裏には特許庁の拒絶を覆す“逆転劇”があった。

“例外”でリベンジ成功

 「立体商標制度が導入された1997年に『たけのこの里』含めてさまざまな立体形状を30件前後、出願しました。しかし、立体形状に記されている文字に識別力があって登録になったもの以外は、ほぼ全てが識別性がないとされ、拒絶となりました」

 明治の広報担当者は「たけのこの里」の苦難の歴史をこう語った。たけのこを模したお菓子の形状が、他のお菓子と完全に別物だと認識されるだけの「識別力」を持たないという判断が、この時点で下っていたのだ。

 商標とは自社の商品やサービスを他社と区別するために用いられるものだ。文字で表記できる商品名などが一般的だが、ロゴなどの図形や特徴的な形状も登録することが可能。実は、ケンタッキーフライドチキンの店舗にあるカーネル・サンダース像も立体商標として保護されている。

 他にもメロディーにのせて社名を聞かせる久光製薬の「音」商標、ズボンの後ろポケットやブランド名が書かれたタグの位置を定めたエドウィンの「位置」商標などがある。また、青・白・黒が並んだトンボ鉛筆の「MONO消しゴム」も、色彩の組み合わせが商標登録されている。生活環境にあふれている商標だからこそ、識別性の審査は厳しい。

 拒絶された後も、明治はあきらめずに挑戦を続けていた。2018年5月、特許庁に出願。このときも「商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ない」として拒絶された。つまり、商標としての識別性がないという、以前とほぼ同じ拒絶理由通知を受けたんだ。だが、このときばかりは引き下がらなかった。明治の広報担当者が振り返る。

 「『長年の使用により、一般の取引者や需要者が、その形だけでどの商品であるか認識できるような状態になっている』場合は例外的に認められる制度を利用して登録となったのです」

 立体商標制度が導入された20年以上前とは状況が違う。「たけのこの里」の形状が、他のお菓子と完全に別物と認識されるだけの識別力を持たなかったとしても、消費者に愛され続けたロングセラー商品であったことが後押しになったのだ。正式に登録が決まったのは、出願から3年以上がたった先月のことだった。

 また、明治は関東と関西に住む15~64歳の男女1246人に「たけのこの里」の形状のみを示して商品名を答えてもらう調査を行い、約9割が正しく回答した「認知率」調査の結果を特許庁に提出していた。販売実績、新聞広告やテレビCMなどの宣伝広告資料、新聞や雑誌での報道資料などもまとめており、「たけのこの里」を多くの人が「認識できる状態」である根拠になったとみられる。

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