BEENOS社長の直井聖太さんに聞く
--新型コロナウイルスの世界的流行が主軸の電子商取引(EC)事業に与えた影響は
「当初は国際物流が止まり、その中で主力の越境ECはビジネスができなくなると心配したが、令和3年9月期は上半期から好調で下半期もハイレベルで推移している。外出自粛で巣ごもり需要が発生したからで、越境ECは世界規模で急拡大している。コロナ禍はそれまでECを使っていなかった人の利用を促した。この傾向は変わらないと見ており、ポジティブにとらえている」
--コロナ禍で新たに分かったことは
「ECの良さを実感する消費者は増えたが、全てが置き換わるわけではない。リアルの価値も改めて気付かされた。高額で中古になっても付加価値の高いブランド品などを個人から買い取るネット宅配買い取りサービスは『安値で買い取る』とのイメージが強く、個人が価格に納得して売るにはリアル店舗のほうが安心できる。このサービスを展開している『ブランディア』は出店強化でブランド品の買い取りも好調だ」
--リアル店舗の強化は今後も進めるのか
「海外にも積極的にトライしていく。ブランディアの中古ブランド品は以前から海外マーケットプレイスに出品していたが、今後は戦略的に強化。米国や中国をターゲットに流通を伸長させ、海外販売比率を7年をめどに現状の10%から50%に高めたい」
--企業を育成するインキュベーション事業の展開は
「日本はアジアの成長を取り込む必要があり、アジア新興国への投資を継続していく。出資の決め手は経営者で、どんなビジョンを描いているかを目利きして判断する。事業では半歩先の行動を大事にしているが、投資は一歩先がちょうどいい」
【プロフィル】なおい・しょうた 明治学院大経済学部卒。平成17年ベンチャー・リンク入社。20年BEENOS入社。24年グループ会社の転送コム(現tenso)社長、26年BEENOS社長兼グループCEO(最高経営責任者)。愛知県出身。