IT業界でエンジニア不足が懸念される中、システム開発から運用までの全工程を手掛ける「フルスタックエンジニア」と呼ばれるIT人材と企業の“橋渡し役”を担うサイトが登場した。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、デジタル技術を取り入れビジネスモデルを変革する「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の流れが加速。採用意欲の底堅い企業に有能な人材を紹介していくという。
交流の場「サテライトオフィス」も
コロナ禍で在宅勤務や副業解禁など働き方が見直され、個人で仕事を受注するフリーランスのエンジニアが増えている。ただ、仕事を発注する企業側にとっては、フリーランスのスキルレベルや業務上のトラブルへの対処能力に不安を抱き、発注に二の足を踏むケースも。フリーランスのエンジニア側も、自分の経験やスキルが企業のプロジェクトに合致するのかといった不安を抱える人が少なくなく、IT業界では両者のマッチングが課題となっていた。
両者の橋渡し役を担うのが、16日に開設されたサイト「JOB STAND」だ。フリーランスのエンジニアにスキルや経験を生かした案件を紹介。エンジニアの事務作業や営業を代行し、本来のエンジニアリング業務に集中できるようフリーランスを支援するという。
「JOB STAND」を開設したのは、企業向けのIT支援に取り組むぺブルコーポレーション(東京)。専属スタッフがエンジニアと面談し、スキルレベルや経験を細かく把握することで、最適な案件を紹介するとしている。同社経営企画部ゼネラルマネージャーの江原あすかさんは「複数の案件、企業に所属しながらフリーランスとして活躍するエンジニアも増えており、そうした声に対応できるよう立ち上げた」と話す。
情報管理の観点から、スキルが高くても個人に情報開示することが難しかった機密性の高い開発案件や研究開発などの案件も「当社とエンジニア間、当社とクライアント間で契約を結ぶことで大手企業との取引も可能になる」(同社)といい、新たな受注機会の創出も期待できそうだ。
同社によると、すでに大手広告代理店や大手メディア、ネット関連のスタートアップベンチャー企業から約120件のオファーが寄せられているという。
エンジニア同士の交流の場となる「サテライトオフィス」も、東京・渋谷、大阪の2カ所にあり、今後1年以内を目途に東京の青山、秋葉原、大手町、さらに福岡、仙台、札幌に設置する方針。転職向けのプログラミングスクールを受講した経験の浅い「ジュニアエンジニア」向けの「JOB STAND Jr.」も立ち上げる予定という。
江原さんは「フリーランスのエンジニアがもっと働きやすく、クライアントにとってもスキルマッチするエンジニアに出会えるよう、トータルサポートしていきたい」と話した。