社長の堀内泰司さんに聞く
--fracora(フラコラ)ブランドの化粧品など美容・健康商品を手掛けている。今の経営環境の認識は
「新型コロナウイルス禍で市場は変化している。本質的には少子高齢化に伴う人口減など、以前からある国内のさまざまな課題が新型コロナの問題で急速に顕在化したということだろう。成熟社会へと向かっているなかで、企業にはその対応と変革が求められている」
--具体的な変革の取り組みは
「事業の進め方を原点に立ち返って見直している。商品は通信販売で供給しているが、昨年春からテレビCMを全廃し、ネットを活用したプロモーションに切り替えた。デジタル技術を活用し、顧客の美容、健康に関係するデータを収集し、これを基に精度の高いソリューション(解決策)を提供するサービスも始めた。要は、商品を開発してCMでプッシュする形から、顧客の状況を把握する中でニーズを探り提案する形に変えた。こうした変革を通じて顧客との“心の契約”を強め、個々の体験価値を高める。いわば(顧客に指定される)御用達の経営を進めている」
--今後の展開は
「顧客に貸与したスマートウオッチやハイミラー、体組成計などの機器を活用して連続的な行動データを集め、それら情報によるソリューション提案をより強めていく。こうしたデジタル技術による変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)で顧客一人一人に美顔、美髪、美貌に向けた“ストーリー”を提供したい。商品については大学との共同研究も加速し、先端技術を導入した商品の拡充を進める。こうした取り組みを続けることでまずは『美と健康のプラットフォーマー』を目指したい」
【プロフィル】ほりうち・たいじ 一橋大経卒。昭和43年住友化学工業入社。52年協和入社、平成9年から現職。長野県出身。