列島が日本人選手のメダルラッシュに沸いた東京五輪が閉幕した。歴史に残る開催となった五輪を、日本人はどう見ていたのか。会員制交流サイト(SNS)の声を元に製品やサービスの改善を支援するNTTコムオンライン(東京)は、短文投稿サイト「Twitter(ツイッター)」に投稿された五輪関連ツイートを収集し、五輪に対してポジティブ・ネガティブ両方の投稿を分析。投稿された内容と割合の推移に関する調査結果を発表した。新型コロナウイルス禍で実施されたことで賛否が分かれた五輪について、開催期間中に国民はどう感じていたのか。
感動と感染拡大の狭間で揺れ動く国民感情
ツイッターの投稿内容から、五輪に対してポジティブ・ネガティブ両方の感想集めて分析する調査は、7月20日~8月9日にツイートされた「五輪」「オリンピック」というワードを含んだものを対象に調査を実施。「五輪」と「メダル」「獲得」などの単語を含んだツイートをポジティブ、「五輪」と「感染」「中止」などを含んだツイートをネガティブなものとして分類し、五輪期間中のツイート数とその割合の推移を算出した。
五輪開催前には1割に満たなかったポジティブなツイートは、開会式当日には24%まで増加。7月24日に初めてネガティブを上回ると、その後28日まで35~46%と高い割合で推移した。期間中のツイートには「金メダル」「獲得」などの単語が含まれたツイートが多く、日本人選手たちの金メダルラッシュに胸を打たれた人がツイートしたことで、ポジティブなツイートの割合が大きく上昇したとみられる。
一方、ネガティブなツイートも常に一定割合を占めており、27日に東京都の感染者数が過去最多となる2848人を記録すると、ネガティブツイートの割合は前日の10%から18ポイントも増加。ツイート数も「金メダル」を含むツイートより「中止」「感染」を含むツイートが多くなり、29~31日は否定的な反応の割合が肯定的な反応を上回った。
8月に入ってもキーワードランキング上位に「メダル」と「コロナ」の両方が入るという賛否入り乱れる状態が続いたが、5日から閉会式まではネガティブなツイートは鳴りを潜め、閉会式には「金メダル」「感動」「応援」などポジティブなワードが上位を占めた。
ただ、翌9日には再びポジティブ(25%)とネガティブ(26%)が拮抗(きっこう)した状態となり、全体を通して五輪の感動とコロナ感染拡大の狭間で揺れ動く国民感情がデータとしても読み取れた。
五輪関連のツイートの数は7月1日は50万件ほどだったのに対し、開幕直前の21日には150万件まで増加。開会式当日は、競技種目を表す絵文字を体現した「動くピクトグラム」や、競技場上空に1824台のドローンで描いた大会エンブレムが「地球」となって浮かび上がるといった演出が反響を呼んだほか、選手団入場の際に使われた「ドラゴンクエスト」など人気ゲームの定番音楽が話題となり、ピークとなる約440万件という投稿数を記録した。
その後は徐々に落ち着いたものの、開催期間中は毎日100万件を超えるツイートが行われ、合計ツイート数は約3767万件に及んだ。