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ミシュラン認定の老舗うなぎ屋 コロナ禍の挑戦 手軽に食べられる「UNG」 (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
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 「UNG」と書かれた暖簾(のれん)がはためくフードトラック。漂ってくる香ばしいタレの香りの正体は、そう「うなぎ」だ。東京・小石川(文京区)に店舗を構える創業73年の老舗うなぎ専門店「わたべ」が走らせるトラック、通称「うなトラ」。ミシュランガイドの「ビブグルマン」(値段以上に満足できる店)にも認定された味が気軽に味わえるのはもちろん、うなぎをモチーフにした、ユニークかつ洗練されたデザインが話題を呼んでいる。発案者は同店3代目店主と料理長を務める新進気鋭の兄弟。新型コロナウイルス禍の逆境に負けず、新しいアイデアで伝統の味を守る。

 日本初 うなぎ専門店のフードトラック

 「このままいつまでも長引いてしまったらまずい」。最初の緊急事態宣言が発令された昨年4~5月、店主で弟の渡部善隆さん(35)と、料理長で兄の幸和さん(37)は閑散とした店内で頭を悩ませていた。

 やわらかく、ふんわりとした肉厚のうなぎが人気のわたべ。2018年から4年連続で“ミシュラン店”に選ばれ、多くのファンを獲得した名店だが、コロナ禍の影響で集客の先行きは不透明に。人気店といえども、飲食業界に吹きつける風当たりは想像以上に厳しかった。

 この状況を打開しようと真っ先に思いついたのは、テイクアウトやデリバリーサービスだった。だが、幸和さんは「できるだけ熱々のうなぎをお客さんの近くで提供したい」との思いが強かったという。

 そこで思いついたのがフードトラック、「うなトラ」だった。かつて、うなぎが行商で売られていたことをヒントに、「うなぎ屋は外に出ることができる」と発想を転換。店で客を待つのではなく、こちらからコロナ禍で外食を楽しめなくなった人たちに届けようと考えたのだ。

 外食産業の業態変換を支援する国の補助金も後押しし、半年の準備期間を経て2020年12月、「UNG WATABE」として稼働を開始。国内初となるうなぎ専門店のフードトラックが誕生した。

 逆境を機に新たな挑戦を

 うなトラで提供するメニューは「店舗とは違うものにしたい」との思いから、「丼ものの元祖」といわれるうな丼にこだわった。「新しいうなぎ屋には新しい調理法が必要」と試行錯誤を繰り返し、江戸前の特徴である「蒸し」と東海地方の「地焼き」のハイブリッド、「江戸前地焼き」を考案。江戸前のやわらかで繊細な味と、地焼きの独特な香ばしさの両方を楽しめるうな丼が完成した。

 文京区内の礫川(れきせん)公園などを中心に、週1回の頻度で出店。メニューにはうな丼だけでなく、白焼き丼もラインナップに加えた。いずれも税込み2500円から。「最初はなかなか値段的に難しいかと思いましたが、リピートしてくださる方も増えて最近は売り切れてくれます」と売れ行きも好調のようだ。

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