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送りつけ商法の手口は高額→高利益率へ 6日から即日処分可

 6日に施行される改正特定商取引法により、注文していないのに一方的に送りつけられた商品をすぐに処分できるようになる。昨年、新型コロナウイルス対策で政府がマスクを配布した施策に便乗して、使い捨てマスクを送りつけては後から料金を請求する手口が増えたことに対応した形だが、生活習慣の変化や金銭感覚のすきを突いた「送りつけ商法」を封じる狙いもあるようだ。

 5日までは、一方的に送りつけられた商品であっても受け取った人には14日間保管する義務があり、保管期間の長さが指摘されてきた。販売者に引き取りを請求すると7日間に短縮できるが、不正な業者に電話番号などの個人情報を知られるリスクが生じる。こうした問題を受けて改正特商法が6月9日までに衆参両院で可決され、14日間の保管義務が撤廃された。

 背景にはコロナ禍における送りつけ商法の急増がある。消費者庁によると、2016年度から2019年度にかけて送りつけ商法の年間相談件数は3000件前後で推移していたが、2020年度は約6600件に倍増した。リモートワークや巣ごもりなどの新しい生活習慣が広がり、家に誰もいない時間が減ったことも相談件数の増加につながったとされる。送りつける側にすれば、商品を受け取らせた時点で第1段階に“成功”したと言えた。

 請求される金額にも変化がみられた。高齢者に高額の健康食品やサプリメントなどを送りつけて代金を請求する手口が社会問題化しているが、昨年度は3000~5000円、高くても1万円以下で利益率が高いマスクや海産物が目立った。消費者庁の担当者は「一般的な家庭でも払えてしまう金額に設定することで、支払うまでの心理的な抵抗を弱める狙いがあったのでは」と話す。

 また、相談者の年齢層の比率も変化しており、2016年度は相談件数のうち約4割が高齢者だったが、2020年度は「40代から70代まで、どの年代の方からもほぼ同じ数の相談が寄せられた」(消費者庁担当者)という。

 改正特商法は海外から届いた商品にも適用されるが、施行以前に受け取ったものは適用外なので注意が必要。消費者庁は今後について、義務がないのに代金を支払ってしまった場合は消費者ホットライン(局番なしの電話番号188=イヤヤ)に相談してほしいと呼びかけている。

SankeiBiz編集部
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