三井住友海上あいおい生命保険社長・加治資朗さんに聞く
--新型コロナウイルス感染拡大による影響は
「緊急事態宣言が発令されていた2020年5月の新規契約は、営業活動の自粛もありコロナ禍前の前年同期比で半分も落ち込み、20年度通年では2割減少した。ようやく非対面型のオンラインによる営業活動も浸透し、21年4月はコロナ禍前の新規契約数を上回ることができた」
--コロナ禍で保険に求められるものが変わった
「コロナの感染拡大でお客さまに不安がすごく蔓延(まんえん)し、昨年はコールセンターへの問い合わせも急増した。『感染した場合に加入している保険で保障されるのか』『感染の診断を受けたが、入院できない場合も保障されるのか』といった不安の声が多く届いた。健康不安に対する保険への関心、ニーズは間違いなく高まっている」
--そうした問い合わせにどのように対応したか
「例えば、入院できない場合でも感染の診断書が確認できればホテル療養や自宅待機でも保険金を支払えるようにするなど、柔軟に対応してきた。問い合わせの増加は、まだまだお客さまへの情報が提供できておらず、寄り添えきれていないということだ。お客さまに寄り添ったアフターフォロー活動をさらに強化していく」
--少子高齢化で生保市場の競争は激化している
「当社最大の強みは、日本最大の損害保険グループが持つ顧客基盤だ。自動車保険や火災保険を契約しているお客さまに対し、生命保険の商品も提案できる。死亡保険が中心だった生保市場は、今では健康増進や認知症などの社会課題へ対応した商品が求められている。こうした課題に対し、人工知能(AI)などのデジタル技術を活用し、どのように解決していくかが重要になる。7月には高齢化に伴う定年延長に備えた収入保障保険を販売する。自負する当社の高い商品力と社員力を生かし、お客さまから感謝される会社を目指していきたい」
【プロフィル】加治資朗 かじ・しろう 西南学院大経卒。1983年に大正海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。営業推進部長、執行役員関東甲信越本部長などを経て、2016年三井住友海上あいおい生命保険取締役専務執行役員。21年4月から現職。福岡県出身。