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東武東上線が“産地直送便”に 直売所の野菜を池袋で販売、食品ロス削減へ

SankeiBiz編集部
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 まだ食べられる食材を廃棄してしまう「食品ロス」の削減に向け、埼玉県東松山市の直売所で売れ残った農産物を池袋駅まで東武東上線の電車で運び、再販する実証実験が21日から始まる。産地直送の新鮮な野菜を駅で購入できるばかりでなく、新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客需要が減少する鉄道事業者や、農業生産者にとっても新たな収益源となる可能性もある。

 実証実験は、フードシェアリングサービス「TABETE」(タベテ)を運営するコークッキング(東京都港区)が、東松山市や東武鉄道、JA埼玉中央などと連携して実施する。同市内5カ所の直売所で売れ残った農産物を閉店後にコークッキングが買い取り、東武東上線の森林公園駅(同県滑川町)を午後5時に出発する電車の先頭車両に積み込んで輸送。池袋駅南改札の券売機前に「TABETEレスキュー直売所」を設置し、7月30日までの毎週月、水、金曜の午後7時から試験的に販売する。

 コークッキングの川越一磨・最高経営責任者(CEO)は「直売所で売れ残った食材を、消費者の多い場所へと運び、食べたい人に購入してもらう。シンプルだが効果的でさまざまなメリットを生み出すと考えた」と話す。

 実証実験は今年3月に次いで2回目。前回は直売所1カ所、農家5軒が参加し、運搬した農産物も1日に6ケースのみだったが、好評を博したため、今回の実証実験には直売所5カ所、農家数十軒に拡大し、運搬する農産物も24ケースと4倍になった。

 電車で一度に多くの農産物を運ばなければならないことから、運搬は「人海戦術」で臨むことになり、同市にキャンパスを置く大東文化大の学生の協力を得て、効率的で安全な運搬体制なども検証する。実証実験終了後、早ければ8月中の本格稼働を目指す。

 コークッキングはフードシェアリングサービスの他に、食品ロスに悩む生産者らと消費者の橋渡し役を担う「レスキュー掲示板」というインターネット通販(EC)サイトを昨年10月から運営しており、通販だけでも「食品ロス予備軍」となった食材1万品以上、総重量約2万5000キロを救済している。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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