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インバウンド、6000万人目標堅持も観光地再生が喫緊の課題に

 2020年の地域別宿泊者数の割合を前年と比べたところ、近畿、関東、北海道の減り幅が軒並み5割を超えるなど、全地域で大きく落ち込んだことが観光白書で分かった。これらの地域では訪日外国人客(インバウンド)が下落幅に占める割合が高く、新型コロナウイルス禍の影響が色濃く出た。一方、インバウンドを30年に6000万人に増やすとの政府目標は堅持。疲弊した観光地の再生が喫緊の課題となる。

 「コロナ禍で観光関連事業者は大変に厳しい状況だが、これまでの観光政策を立ち止まって振り返る機会になったのも事実」

 赤羽一嘉国土交通相は15日の閣議後会見で、今回の観光白書が示した現状の厳しさを指摘しつつ、メリットがあったことも訴えた。

 具体的には、長距離移動を避けた近隣地域の観光活発化で地元の観光資源の再発見につながったことや、旅先で休暇を取りながらテレワークをする「ワーケーション」の拡大など、新しい需要の発掘につながったことを挙げた。

 観光庁は昨年12月策定の「感染拡大防止と観光需要回復のための政策プラン」に沿って支援策を実施。その中では、観光施設や観光街の再生を目的とした補助制度の新設、融資制度の大幅拡充を明記した。

 一方、インバウンドの需要回復を見据えた取り組みとしては、多言語化といった受け入れ環境整備の促進に加え、国内外の感染状況を見て小規模ツアーを段階的に進めることなども掲げた。だが、出入国を踏まえると現状ではワクチン接種が進まない限りは、より難しいとみられる内容だ。

 昨年の地域別延べ宿泊者数を前年比割合で調べた観光庁のデータによると、落ち込みが大きい順に、沖縄61.1%減(うちインバウンドは20.6%)▽近畿57.0%減(同27.0%)▽関東52.6%減(同19.9%)▽北海道50.1%減(同19.0%)-など。上位の地域は3~5割近くを外国人が占めた。

 インバウンドへの依存度が高いほど、日本人客よりも客足の回復が遅れるとみられ、より厳しさは増す。

 インバウンドの延べ宿泊客数がコロナ禍前は全体の3分の1(約21万人)を占めていた北海道ニセコ町。昨年度は183人と壊滅状態で、店をたたむ事例も出ているという。

 町商工会の担当者は「予約は入るけど感染状況が収まらずにキャンセルという繰り返し。消費マインドの強い冷え込みは国内外を覆っており、そうはすぐに戻らない。現時点では将来のことを見込めない」と悲観的だ。(福田涼太郎)

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