みずほ銀行で相次いだシステム障害に関し、親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は15日、第三者委員会の調査報告書を公表した。システムに欠陥があったのではなく、人員配置など運用管理面で弱さがあったことが原因と結論付けた。坂井辰史社長は同日に記者会見を開き、自身やみずほ銀の藤原弘治頭取ら11人の役員報酬を減額する処分を発表した。
報告書では一連の障害に共通する問題として、情報連絡体制がうまく機能しないなど組織としての危機対応力の弱さに加え、休日の危機対応を含むITシステムの統制力に課題があったと指摘。現金自動預払機(ATM)の停止など障害が起きた際に利用者対応が後手に回るといった顧客目線の弱さも追及した。有事に責任問題になるリスクを避けるため、積極的に声を上げることをためらう組織風土も問題視した。
システム障害は2月28日~3月12日の間、4回にわたって発生した。うち2月28日は既存の銀行口座を紙の通帳を発行しないデジタル口座(みずほe‐口座)に切り替える作業中に障害が起き、全国で稼働中のATMの8割が停止して5000超のキャッシュカードや通帳が内部に取り込まれた。報告書では、切り替えに伴って発生する大量のデータ処理でメモリー不足が起きるリスクに対する認識が不足していたと指摘した。
併せて発表した役員処分では坂井社長が月額の50%を6カ月、藤原頭取が月額の50%を4カ月減額する。藤原氏の退任を含む人事案は見送った。
坂井氏は会見で「迷惑と心配をお掛けし、深くおわびする」と謝罪。辞任でなく減俸の処分内容については「本日の決定で責任を明確化した。今取り組むべきことはグループの役職員が力をあわせ、再発防止策を立ち上げていくことだ」と述べた。