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「脱アルコール」へ飲料各社 健康志向高まり コロナ禍も転換点 (1/2ページ)

 飲料各社が、ノンアルコール(ノンアル)飲料の市場を開拓している。背景には若者のアルコール離れや健康志向の高まりがあるほか、世界保健機関(WHO)が飲酒問題に懸念を示したことも各社の背中を押している。WHOは同じく嗜好(しこう)品とされるたばこを健康への悪影響を問題視して厳しく規制した経緯があるだけに各社は神経をとがらせており、みずから飲み過ぎを避けるよう促す取り組みが始まった。

 「世界でのノンアルコールのトレンドは、今後も加速が予想される」。29日からワイン系ノンアル飲料「モクバル」を発売するメルシャンの担当者は9日の発表会で、こう強調した。

 国税庁などによると、国内の酒類の出荷量を示す移出数量は長らく減少傾向にある一方、ノンアル飲料は規模が小さいながらも過去10年間で1・5倍以上に伸びている。4月の飲料大手4社の販売数量でも、ノンアルコールビールがいずれも前年同月を上回った。

 厚生労働省の令和元年の調査によると、飲酒の頻度について「ほとんど飲まない」と答えた人は全年齢層で15・9%いたが、30代に絞ると20・3%、20代では26・5%に上る。ビール需要は頭打ちと評される中、ノンアルや低アルコール市場の開拓は「お酒を飲まない層への新たなアプローチ」(アサヒビール)として注目を集めている。

 海外で先行していた、アルコール飲料に味を近づける技術なども、商品開発を後押しした。大手広報は「ノンアルはかつて『我慢の飲み物』とされてきたが、味や価値の追求が進み、ポジティブに飲まれている」と手応えを示す。

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