大和証券グループ本社社長・中田誠司さんに聞く
--個人向け事業の改革を進めてきた
「顧客第一で質の高い営業に転換してきた。個人向け事業は2023年度に経常利益400億円を目指す。不動産や預金も含めた総資産に対して、ライフプランに合わせたコンサルティングをしていく」
--米投資会社との取引で、複数の日系証券会社が巨額の損失を出した
「証券ビジネスでは、リスクを取らずしてリターンは得られない。取引先1社、1件当たりのリスク管理を高度化することが大事だ。今回の問題を奇貨とすべく、当社もビジネスの状況を総点検した」
--東証の市場再編まであと1年を切った
「上場会社からは、株式の流動性比率基準や流通株式時価総額基準について、さまざまな相談が来ている。独立社外取締役の人材競争獲得が激化しているとの声も寄せられている。対応に苦慮する企業もいるようなので不明瞭な部分をクリアにしていくことが必要ではないか」
--国際金融都市構想の議論が活発化してきた
「日本の国際競争力強化には、日本における資本市場のさらなる活性化が重要だ。その中で国際金融都市構想は非常に重要なテーマだ。海外の高度金融人材の日本参入を促すため、税制改正に向けて業界団体を通じた政府への働きかけも続けたい。日本が世界の金融市場のメインプレーヤーになれるように協力していきたい」
--企業買収を目的とする「特別買収目的会社(SPAC)」の活用についてどう考えるか
「SPACは短期間で上場できたり、経験豊富なSPACスポンサーとの提携による企業価値向上が期待できるプラス面がある一方、マイナス面の懸念もある。情報開示や投資家保護が担保されれば、日本でもSPACを成長戦略のツールとして活用することはあり得る」
【プロフィル】中田誠司 なかた・せいじ 早大政経卒。1983年大和証券入社。大和証券グループ本社最高執行責任者(COO)などを経て、2017年4月から現職。東京都出身。