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「ライブコマース」中国では34兆円市場も…日本では“ライブ感”活かせず?

SankeiBiz編集部
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 通販事業者がネット配信で実演販売のように商品を紹介する「ライブコマース」が日本でも広がりつつある。中国で始まった新たなEC(電子商取引)で、商品を宣伝する動画配信者と、視聴するユーザーがリアルタイムでコミュニケーションを図れるのが特長だ。先行する中国は約34兆円の巨大市場を形成しているが、日本では認知度もまだ高まっておらず、ライブコマースの特長も十分には活用できていないのが現状のようだ。

中国では2時間で売り上げ3億円

 日本貿易振興機構(JETRO)によると、中国のライブコマースの市場規模は、2019年の4338億元(約7.4兆円)から2020年には1兆500億元(約18兆円)と倍増。今年はさらに2兆元(約34兆円)規模へと急拡大する見込みという。新型コロナウイルスの感染拡大で巣ごもり需要が高まり、ECサービスの利用が増えたことも追い風となった。

 中国では、電子商取引最大手アリババグループの「淘宝(タオバオ)」などでライブコマースを展開。「キー・オピニオン・リーダー(KOL)」と呼ばれるインフルエンサーらがファッションブランドを紹介している。2時間で約3億円を売り上げて事業を拡大させたといった成功物語も生まれた。

 一方、「MMDLabo」(東京都港区)の調査によると、日本では、ライブコマースを「全く知らない」という人が過半数の56.8%に上った。実際にライブコマースを利用した経験がある人は12.7%にとどまる。

 徐々にではあるものの日本でも浸透しつつあり、ライブコマースの視聴経験などがある人への調査(複数回答)では、「好きなタイミングで見られる」、「興味がある商品の紹介をしている」、「ECサイトよりも商品の様子をしっかりと確認できる」といった利点も挙がっている。

 ライブコマースで関心を持った商品は、化粧品・美容品が最も多く、靴やかばんなどのファッション小物、パソコンやスマートフォンを含むAV機器が続いた。

 ただ、ライブコマースの特長でもある「配信者とコミュニケーションがとれる」と回答したのは46人と最も少なく、日本ではまだ、ライブコマースの利点が十分に活用されていない実態も浮き彫りとなった。

 KDDIとauコマース&ライフが2019年から、総合ショッピングモール「au PAY マーケット(旧au Wowma!)」アプリで、ライブコマースサービスの「ライブTV」の提供を開始するなど、日本でもライブコマースに注力する動きが広がっている。

 リアルタイムでコミュニケーションを図ることができるというライブコマースの特長を活かせば、日本でもスマートフォンで動画を視聴する機会の多い若年層を中心に普及が進む可能性がありそうだ。

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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