テクノロジー

ハイパーカミオカンデ着工 3度目のノーベル賞に期待

 宇宙を満たす素粒子ニュートリノを捉えて宇宙の成り立ちの解明を目指す次世代観測装置「ハイパーカミオカンデ」の建設が本格的に始まった。着工記念式典が28日、飛騨市神岡町の建設地とオンラインで開催された。

 装置は神岡町の山中の地下650メートルに建設される。今月6日にトンネルの掘削が始まり、来年度には装置の本体を収める巨大な空洞の掘削が始まる。東京大宇宙線研究所が中心となって、世界19カ国から450人の研究者が参加する大型の国際共同実験で、2027年の実験開始を目指す。

 同研究所の梶田隆章所長は、「サイエンスとして極めて重要なプロジェクトだと世界中の研究者が思っている。日本がホスト国となってやれるというのは素晴らしいことだ。着実に建設を進めて実験が開始され、良い成果がどんどん出てほしいと思う」と話した。

 これまで2回のノーベル賞受賞につながる成果を上げた「カミオカンデ」と「スーパーカミオカンデ」に続く3代目で、今回の装置もノーベル賞級の発見が期待されている。

 本体は直径68メートル、高さ71メートルの巨大な水槽で、26万トンもの水を蓄えられる。水槽の内壁には超高感度の光センサーが4万個並べられ、ニュートリノが水の分子と衝突した際に生じる微弱な「チェレンコフ光」を捉える。従来の2倍の感度を持つ新型の光センサーを設置する。スーパーカミオカンデの100年分のデータがハイパーカミオカンデでは約10年で得られる。

 米国で同様の実験を目指す装置が先に建設が始まるなど、厳しい国際競争にさらされている。実験の共同代表を務める同研究所の塩沢真人教授(素粒子物理学)は「科学の成果は先に出したい。早くデータが見られる日が来ることを心待ちにしている」と意気込んだ。

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