ANAホールディングス(HD)は20日、新型コロナウイルス禍で移動が制限される中、スマートフォンアプリで仮想空間内の旅行などを楽しめるサービスを2022年に各国で同時に提供を始めると発表した。ANAHDは、仮想旅行サービスを非航空事業の柱の一つと位置付ける一方、仮想旅行を実際の旅行需要の喚起につなげ、コロナ禍後に本業の航空事業回復に結びつける考えだ。
仮想旅行「スカイパーク」は、利用者の分身のキャラクターが最大8人のグループで、仮想空間上の京都などの観光スポットを周遊することで旅行を疑似体験できるサービス。欧米やオーストラリアなどの政府観光局と協力して各国の観光スポットを追加するほか、宇宙空間や恐竜の世界、映画の世界といった仮想空間ならではの旅行体験も検討する。利用料金は現在調整中だが、「週末に映画に行くようなイメージで考えている」(同社幹部)という。
開発には、人気ロールプレーイングゲーム「ファイナルファンタジー15」に携わったゲームクリエイターの田畑端(はじめ)氏も参画。仮想空間で名勝を回るなどすることに関連づけたゲーム的な要素も取り入れられているが、詳細は開発中という。
スカイパークは、ANAのグループ企業が運営するアプリ「スカイホエール」の中のサービスのひとつという位置付け。スカイホエールでは、仮想空間のショッピングモールで仲間とともに現実の商品をマイルで購入できるスカイモールや、仮想空間内に自分の家を建てたり、遠隔医療や教育などの提供を受けたりできるスカイビレッジの2サービスも利用できる。
新型コロナ禍で収益が落ち込むANAHDはマイルでゲームや電子商取引(EC)などさまざまなサービスを利用できる「ANAスーパーアプリ」の提供を令和4年度に開始する方針。航空事業一本足からの脱却を目指している。