経済同友会代表幹事・桜田謙悟さんに聞く
--経済同友会の代表幹事として1期目(2年)を終えたが、総括は
「点をつけるとすれば60点で、及第点ではないだろうか。2期目に100点を目指す準備はできたと思う。特に、同友会には(シンクタンクではなく)『ドゥ(行動する)タンク』としての文化が根付き始めている。提言をまとめ、公表するだけでなく、それを実現させていくための議論ができている」
--2期目はどんな取り組みを強化するのか
「これからの同友会の方向性はドゥタンクの進化と、多様なステークホルダーを巻き込んだ議論を進めていくことだ。企業経営や国際戦略などの課題について、経営者が当事者として生々しい実感をもとにした議論を進めていく。同時に、若い経営者らも巻き込んで『トレーニング(訓練)タンク』として、気概を持った次世代の経営者をつくっていく」
--新型コロナウイルス感染拡大が日本経済に大きな影響を与えている
「コロナは日本の多くのシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を明らかにすると同時に、世界の多くの課題を浮き彫りにした。格差の問題、ステークホルダー資本主義、先端技術分野での経済安全保障、米中の経済対立。そして日本がこういった環境の中でどのようにかじ取りをしていくかだ。米国や中国の強大なパワーに対し、日本は『コーポレートジャパン』としての政府と経済界の新しい連携が必要になっている。これまでの官製の成長戦略ではなく、経済の現場に臨む企業や経営者が戦略をもって、まず民間が進めていきたいことや、方向性を明確にする。それを基に政府が政策をかぶせていく方式が求められる。企業経営者はこれまでの(政府任せだった)努力不足を反省し、企業自身が変わっていく必要がある」
【プロフィル】桜田謙悟 さくらだ・けんご 早大商卒。1978年安田火災海上保険(現・損害保険ジャパン)入社、2012年にNKSJホールディングス(現・SOMPOホールディングス)社長。経済同友会では17年に副代表幹事、19年4月に代表幹事に就任。東京都出身。