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評価不信で“グルメサイト離れ”加速 店単位からメニュー別“一品”評価の時代に (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 「飲食店に課金させるグルメサイトは信用できない」。ネット上ではこうした厳しい見方が広がり、グルメサイトの点数やランキングを信じない人が増えている。民間企業の意識調査でも、飲食店側も6割がグルメサイトの評価を気にしていないことが判明。信頼度の低下から“グルメサイト離れ”が進んでいる実態が浮き彫りとなった。一方、ユーザー数を伸ばしているグルメサイトもある。スマートフォンアプリの「SARAH(サラ)」だ。従来のグルメサイトと何が違うのか探った。

 客も店も「評価」に不信感

 「大手グルメサイトで評価の高いお店でも、ポテトサラダが美味しいかどうかまでは分かりません。きっかけは私の好きなポテサラでした」

 スマホアプリ「SARAH」を運営するSARAH(東京都台東区)の社長、高橋洋太さんがアプリ開発の経緯を振り返る。ポテサラと言っても、ジャガイモをつぶして口当たりをなめらかにしたものもあれば、ジャガイモがごろごろ入った食べ応えのあるものなどさまざま。逸品のポテサラを探し当てたいとの思いから、SARAHでは単品のメニューごとに検索できるようにしたという。ポテサラだけでなく、レバーペーストやガーリックトーストといった料理の“脇役”メニューも検索できるのが特徴だ。「店の雰囲気とかは関係なく、おいしいかどうかでどうしてもランキングを作りたかった」(高橋さん)という。

 飲食店を探す際に入り口となるグルメサイトは今、厳しい状況に置かれている。全国約7000店の飲食店のデータを持つテーブルチェックの意識調査によると、1年前と比べグルメサイトの利用が「減った」「利用・閲覧しなくなった」と回答した人は42.8%に上る。グルメサイトの点数やランキングについても28.5%が「信頼していない」と回答。前回調査より2.4ポイント増加した。一方、「店選びの基準になっている」とした人は12.0%にとどまり、過半数の52.5%の人が「あくまで情報源の一つ」と割り切っている。

 さらに深刻なのは飲食店側の反応だ。グルメサイトのユーザー評価を「気にしない」とした店舗は57.1%に上り、「間違っている」(6.0%)、「信用していない」(15.5%)という冷めた見方も2割を超えている。

 グルメサイトの評価に懐疑的な見方が広まるの中、SARAHの投稿数は累計70万件と堅調に推移。月間ユーザー数もコロナ禍前(2020年2月)の約60万人から約3倍に増加しているという。個人ユーザーの純粋な評価であるという点と、誰もがSNS感覚で投稿できるうえ、単品で検索できる手軽さが支持されているようだ。だがそれだけではない。SARAHではコンビニエンスストアの弁当やデザート、スーパーマーケットの総菜なども検索できるため、コロナ禍で調理済みの食品を自宅で食べる「中食」需要が伸びたことも一因という。

 おいしい料理の「備忘録」

 SARAHに登録した個人ユーザーは飲食店の料理をそれぞれ5段階で評価する。料理の写真には簡単な感想も添えられる。評価の基準は、単純においしかったかどうか。立地や個室の有無、店内の雰囲気などで評価が大きく左右されることはない。

 「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパー」の3大グルメサイトはいずれも店舗別に表示されるが、SARAHはメニュー単位となっている。試しにエリアを指定して検索してみると、シャトーブリアンステーキを使った「シャトーブリ飯」という料理が人気ランキングの上位に表示された。まず目に入るのは、どんな料理が人気で、評価が高いのか。興味を抱いた料理の写真をクリックすると、店名や所在地などを確認できた。「店→料理」ではなく、「料理→店」というアクセスがユニークだ。

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