屋外でも室内と同様の感染リスクがある-。理化学研究所などの研究チームが、スーパーコンピューター「富岳」で行ったシミュレーションでは、こうした結果が明らかになっている。
チームは、テーブルを10人で囲み、マスクなしで会話する場面を想定し、どれくらい飛沫(ひまつ)が飛ぶのか調べた。
30秒間の会話で約1万個の飛沫が発生。無風状態では向かい合う形で1メートル先にいる3人に飛沫が届き、特に正面にいる人は飛沫全体の約1割を浴びた。
一方、毎秒0・5~1メートルの微風が吹いている場合、飛沫はより広範囲に広がった。人の間隔が1メートルだった場合、正面や風下にいる最大6人が飛沫を浴びる結果となり、無風状態よりも感染リスクが高くなることが示された。
シミュレーションをまとめた理研の坪倉誠チームリーダーは「屋外は安全だと考えている人が多いが、室内と比較して感染リスクを下げるわけではない」と強調。屋外では風の影響でより広範囲に飛沫が拡散することから、「(その場にいる)すべての人の感染リスクが高くなる」と指摘した。(小川恵理子)