日米首脳会談が16日に開かれ、共同声明が発出された。この声明には経済安全保障分野での日米協働が明記され、日本としても国内法の整備を含む対応が必要になる。ポイントになるのは、ECRA(米国輸出管理改革法)への対応と、米国から中国の通信関連の事業を全面的に排除することを目指す「クリーンネットワーク」への参加と環境構築だ。
ECRAは、重点分野の生命科学およびバイオテクノロジー、人工知能(AI)、量子科学、民生宇宙での技術流出を防ぐというのが目的であり、この対応として中国への技術流出を防止する仕組みを構築するといってよいだろう。
日本の輸出管理は、法的には2017年と19年の改正外為法でほぼ整っているが、監督する分野の人材が不足しており、新たな省庁の設置などが必要。これは学校や研究機関なども対象であり、非営利を含む全ての団体がその監視対象になる。これは日米連動で行われるため、協働セッションも設置される。なお、この場合の輸出とは、モノの輸出だけでなく、人への技術の輸出も対象となる。つまり、中国人研究者の採用、共同研究など全て見直す必要がある。
もう一つのポイントはクリーンネットワークへの参加だ。クリーンネットワークとは信頼できない国や組織を排除するというものだが、これには通信システム(基地局やシステム、スマートフォンなど端末を含む)、クラウド、ソフトウエア、アプリ、ストアから信頼できない国や組織を排除するというものであり、主に中国やロシアがその対象になる。
既に米国では、米国で活動する全ての企業に対して、5月から「中国製IT」の登録義務が課せられる予定となっており、利用が許可制に変更される。米国で活動する日本企業も対象であり、直接的には日本国内での利用は対象外だが、業務で利用するソフトやサーバーなど共有部分で中国製を排除する必要が生まれる。