優れた技術やビジネスモデルを持つ中堅・中小企業を投資対象とする新しい投資会社が昨秋に東京都内に設立、21日に事業を始めた。地域の雇用や経済を支える中堅・中小企業の多くが後継者難で、事業の継続が危ぶまれるケースが多い。金融面での支援を通じて事業の円滑な継続を支える。
新会社「志本」は、年商数億~数十億円規模の中堅・中小企業に対し、1件あたり数千万~数億円投資する。原則として議決権ベースで3分の2以上の株式を取得することを、投資の条件に置く。取得した株式の保有期間は原則として5年。志本の最高経営責任者(CEO)には、人工知能(AI)を使った日本酒の醸造技術を開発しているベンチャー企業ima(あいま)の三浦亜美CEOが就いた。
一般的な投資会社の場合、配当などのリターンを最大限重視するが、志本では投資先企業の事業内容や技術力だけでなく、地域経済への貢献なども評価する。具体的には地域からの雇用の創出、社内保育所の設置による女性従業員の採用なども評価項目とする考え。
ベンチャー企業に投資する会社としてベンチャーキャピタル(VC)があるが、中堅・中小企業の多くは利益規模が小さいため、投資会社の投資対象から外れるケースが多い。
志本の三浦CEOは21日に開かれた東京都内での記者発表会で「日本の中小企業が持つ匠の技は経済合理性だけでは計れない。社会的価値の最大化を第一目標に支援しながら、匠の技を未来につなげたい」と語った。