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CVCが東芝買収を事実上撤回 検討中断の書面送付

 東芝は20日、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから、買収に関する検討を中断するとの書面を受け取ったと発表した。6日の初期提案から10日程度で行うとされていた正式提案は届いておらず、CVCは買収提案を事実上撤回したとみられる。車谷暢昭前社長(63)の辞任に発展した東芝の経営をめぐる混乱は、ひとまず収束に向かいそうだ。

 東芝は今回のCVCからの書面を19日に受け取った。しかし買収提案に関する具体的な言及はなく、CVCが初期提案で想定していた買収に伴う株式の非公開化が東芝の戦略に合致するかどうかについて、東芝の判断を待つとの記載があったという。

 これに対し東芝は買収側の資本構成や買収後の具体的な経営方針が示されなければ「提案を評価することは不可能」と反論。「物言う株主」が多い東芝の株主構成が企業価値に悪影響を与えているとのCVCの主張についても「そのように考えていない」とした。

 一方で東芝は、1月に約3年半ぶりに東証1部へ復帰したことを「誇りに思っている」と説明。非上場化を選択肢として排除しないとしながらも、「上場会社としてのメリットを生かすことが企業価値の向上につながる」とした。

 CVCは他の投資会社や日本の事業会社に参加を呼び掛けた上で総額2兆3千億円規模のTOB(株式公開買い付け)を実施し、東芝の株式を非公開化することを提案していた。

 しかし物言う株主からの批判が多く、東芝入り直前までCVC日本法人の会長だった車谷氏が14日に辞任。会長の綱川智氏が社長に復帰していた。買収提案が事実上撤回されたことで、今後は綱川氏が物言う株主などとの関係を改善できるかが焦点となる。

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