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川口鋳物工業協同組合 コロナに勝ち鋳物の伝統を継承

 □川口鋳物工業協同組合理事長・石川義明さん(69)

 --埼玉県川口市は鋳物の街として知られる。中小鋳物業への新型コロナウイルスの感染拡大の影響は

 「組合員の受注は現状で平均3割減少している。業種や規模によってバラツキがある。例えば、建設機械は大型と中型が止まっているが、小型が増えている。工作機械は動いていないが、産業機械は少しずつ増えてきた。自動車関連も半導体の問題があるが、昨年から良くなりつつある。昨年3~6月が底で、一時は7割減まで落ち込み、5割減が当たり前だった。最近の組合員への調査では『半年先に良くなる』という回答が7割を占めた。まだ先行きは不透明だが、回復を願いたい」

 --この他に課題はあるか

 「投機による買い占めで、銅やすず、鉄スクラップが高騰し、利益を出しにくくなっている。景気が良ければ、値上げできるが、今は我慢しないといけない。そこが苦しい。あとは政府による実質無利子・無担保の融資制度のおかげで、売り上げが落ちても何とか耐えることができた。ただ、これから立ち上がるときにも資金が必要になってくる。返済を猶予する据え置きの期間を延長してもらえると、事業を円滑に展開できる」

 --中小経営者の高齢化による後継者問題があるが、川口の鋳物の文化をどう継承していくか

 「約60年前は組合員数が約630社だったが、現在は約110社まで減少している。後継者問題がある中、コロナの影響で廃業する組合員も出ている。コロナで困っている組合員に対して、細かくフォローしていきたい。川口の鋳物の歴史は江戸末期から始まり、組合も115年続いている。20年前から資料館の建設を市にお願いしているが、これを実現させ、後世に伝えたい。まずはコロナに勝って、伝統を継承し、組合も150年、200年と続けていけるように頑張りたい」

【プロフィル】石川義明

 いしかわ・よしあき 1975年、芝浦工大卒。78年石川金属機工入社、95年同社代表取締役社長。2015年埼玉県中小企業団体中央会副会長、20年から現職。埼玉県出身。

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