コロナ禍で感染防止への取り組みと企業活動を両立する動きは、企業の働き方を新たなステージへと進めている。アサヒグループホールディングス(HD)は4月から国内の営業拠点を半減し、在宅勤務などのテレワークをさらに強化。全職種を対象にした在宅勤務手当も新設する。新型コロナ感染拡大に伴い浸透してきたテレワークは徐々に生活を変えていきそうだ。
「この働き方を(コロナ禍前の)元には戻さない」
アサヒグループHDの勝木敦志社長は4月から始める国内事業会社3社の営業拠点再編の意味合いを強調する。国内事業会社であるアサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品の3社の営業拠点は55カ所あるが、4月以降、26カ所へ順次集約。各社の地域拠点を1つにするイメージで、集約後の18カ所は3事業会社の社員が利用する「シェアオフィス」となる。
オフィスの「密」につながりかねない3社の営業部隊の集約で前提となるのが在宅勤務の徹底だ。各社は昨年8月から在宅勤務などを導入してきた。拠点集約には働き方を効率化しながら、3社の連携による営業力強化を図る狙いもある。
働き方の見直しは手当見直しにもつながる。アサヒグループHDは、国内16社の約1万1600人を対象に在宅勤務1日につき200円を支給する「在宅勤務手当」を新設。光熱費などの環境整備代の位置づけで、在宅勤務時間は不問とした。時短勤務や半休取得日はもちろん、数時間の出社前後に在宅勤務をした場合でも支給する。
国土交通省の令和2年度調査では、在宅勤務といったテレワークを経験した会社員などは全体の23・0%で前年度調査から8・2ポイント増えた。テレワークに関する企業の取り組みは生活をかえるきっかけになりそうだ。