国土交通省が23日公表した千葉県内の公示地価は、全用途(住宅地、商業地、工業地など)平均で0・3%上昇したが上昇幅は昨年より1ポイント縮小した。前年比プラスは8年連続。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の発令などで経済活動が低調となり、自治体別では浦安市は8年ぶり、成田市は7年ぶりに商業地で下落した。
用途別では、住宅地が前年比0・1%増、商業地が同0・5%増、工業地が同2・9%増。住宅地は7年連続、商業地と工業地は8年連続で前年を上回った。
住宅地は53市区町村中、18市区で平均変動率が上昇。平均価格(1平方メートル当たり)は前年比700円増の10万2400円だった。
市区町村別の上昇率トップは昨年に続き君津市で2・3%。木更津市の1・2%、袖ケ浦市の1・1%が続いた。平均価格トップは昨年に続き浦安市の28万7300円(前年比1600円増)。
JR総武、京葉、常磐各線やつくばエクスプレスの沿線、東京湾アクアラインの接続地点といった都心へのアクセスが良好な地点で上昇する傾向が見られた。
地点別の上昇率トップは、アクアラインの木更津金田ICに近い木更津市金田東4丁目で5・6%。下落率ワーストは、昨年に続き我孫子市布佐平和台3丁目のマイナス8・4%だった。
商業地の平均価格は28万3100円で、昨年から2500円上昇した。地点別価格では、JR千葉駅東口に近い千葉市中央区富士見2丁目が192万円で、2年ぶりに首位を奪還した。昨年首位の船橋市本町4丁目は2位で188万円。
上昇率トップは、JR総武線と都営新宿線が接続する本八幡駅に近い市川市八幡2丁目で、昨年比3・9%増となった。
県内の状況について、地価公示鑑定評価員の佐藤元彦県代表幹事は今後の動向について「コロナの収束次第。ワクチンや治療薬などが来れば、ほとんどコロナ前に戻っていくのでは」と指摘した。
公示地価は、国交省が地価公示法に基づき公表する1月1日時点の1平方メートル当たりの土地の価格。一般の土地取引や公共事業の用地取得、固定資産税評価の目安として利用される。
県内の調査対象は、53市区町村の1259地点。このうち全用途で前年から継続して調べた1242地点では上昇が473地点、横ばいが436地点、下落が333地点だった。