新型コロナウイルス感染の再拡大を受けて停止された政府の観光支援事業「Go To トラベル」は、首都圏1都3県に対する緊急事態宣言が解除された後も停止が継続される見通しだ。再開が決まった場合でも、感染が落ち着いた一部地域から実施される可能性が高い。こうした中、政府内では早ければ4月中にも部分再開する案が浮上しており、感染拡大状況や観光業界などの声を踏まえた検討が続けられている。
昨年12月28日に停止されたトラベル事業は、今月7日の緊急事態宣言延長後、再開が先延ばしされている。菅義偉首相は3月中の再開について「現時点ではなかなか難しい」としており、具体的な再開時期は示していない。また、赤羽一嘉国土交通相は16日の閣議後記者会見で「宣言が解除される21日に全国がステージ2(感染漸増)になるのは想定しにくい」と言及。再開は全国一斉ではなく、部分的に行うとの考えを示唆した。
ただ、緊急事態宣言の対象ではない地方の観光業者からは切実な声も出ている。九州の事業者は「県内客向けの独自プランで頑張ってきたが、3月に再開されると思っていた。せめて都道府県単位でもいいのでできるだけ早期に再開してもらいたい」と訴える。
こうした中、政府内では早ければ4月中に部分再開を実現し、その後、ゴールデンウイークが明ける5月に全国に拡大する案も浮上している。事業者からは、観光客が集まりやすいゴールデンウイーク期間中よりも、観光客が落ち込みがちなゴールデンウイーク後の再開を求める声もある。
政府は事業者や自治体のさまざまな声を考慮した上で、部分再開の時期を調整する。(大坪玲央)