トップは語る

A-TOM 自ら魅力輝かせる「地方覚醒」目指す

 □A-TOM(アトム)社長・青井茂さん(43)

 --現在、力を入れている事業は

 「目指しているのは“地方覚醒”。地方創生という言葉はプレミアム商品券発行やハコモノ整備など行政主体で地方を盛り上げるイメージだ。地方覚醒はその逆で、地元の持つ魅力を輝かせて地方自らの力で盛り上げていくことだ。当社は東京を拠点に不動産事業を60年以上営んでいるが、2013年からは東京での投資を止めている。地方だと数千万円の投資でも街づくりへのインパクトは東京よりはるかに大きく、伸びしろがある」

 --新型コロナウイルスによる事業環境の変化は

 「パリで展開しているレストラン事業などの海外事業はストップした。2022年には投資先を改めて考え、仕切り直したい。一方で、国内はリモートワークなどのシステムの利用が進み、社員の働き方が変わるきっかけとなった。オフィスなど不動産そのものの在り方も変化し、移住や2拠点で働くデュアルワークが広がったことで、『地方の時代が来ている』と実感している」

 --地方では富山県での事業を積極化している

 「祖父で丸井グループ創設者、青井忠治の出身である富山で商売をしたいと思った。創業者の起源であり縁ある地域で行う方が事業のストーリーを描きやすく、そこに集まる力も大きい。富山は食や自然が豊かで世帯当たりの所得も高く、大きな可能性があるはずだ」

 --今後の目標は

 「現在、富山の中心街でコンテナを再利用した横丁を展開している。こうした、従来の価値観をクリエーティブの力で変化させることがわれわれの仕事だと思っている。古き良きものを既視感のないユニークなスペースに転化し、提供する。それはサステナビリティー(持続可能性)にも貢献する。100年後も残る文化を想像し、これからも“鋭(とが)った”ことに挑戦し続けたい」

【プロフィル】青井茂

 あおい・しげる 慶大経卒。デロイト・トーマツ・コンサルティングにて特殊法人の民営化プロジェクトなどを担当。その後、産業再生機構にて企業の再生案件に従事。2019年5月にA-TOM代表取締役社長に就任。同年、地方覚醒を目標としたまちづくり会社「TOYAMATO」(富山県)、「IKASAGAN」(長崎県)を立ち上げる。東京都出身。

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