--昨年6月、定額料金を支払って“ホテル暮らし”ができる予約サイト「goodroomホテルパス」を開始した
「昨年の緊急事態宣言後に、沖縄県で1カ月リモートワークをし、意外にも仕事が回るものだと実感した。滞在した宿泊施設では、夏休みの繁忙期と年明けの閑散期の稼働率の差が大きいという話を聞いた。これまでの常識だと家は買うか借りるかの二択だったが、テレワークが浸透するなら、ホテルを月・週単位で借りる暮らし方ができるのではと考えたことがサービスを始めたきっかけになった」
--宿泊希望者は月間基本料(最低価格6万9800円)などを支払い全国のホテル約300施設から滞在先を選べる
「ビジネスホテルと提携しているが、防犯面で評価を受けている。従来のビジネスホテルの客層は6、7割程度が男性だったが、ホテルパスの利用者の男女比は半々。ホテル側からも女性客の利用が多くなったと感想が寄せられる。女性客からは、ホテルの立地や入り口にスタッフがいる点、カードキーをかざさないとエレベーターが作動しない仕組みや客室のオートロックなど、セキュリティー対策で安心感が高いと評価をいただいた」
--ホテル事業者の反応はどうか
「宿泊価格は割安となるものの、稼働率の底上げや需要の平準化につながったとの声をいただいている。これまでは平日はビジネス利用、土日は観光利用で客室を埋め、それ以外は外国人観光客の受け入れで稼働率を上げる戦略が取られていた。コロナ禍で出張機会が減少する中、出張需要が元通りに回復する可能性は低く、インバウンド(訪日客)もすぐには戻らない。長期滞在需要は3本目の収入の柱として期待されている」
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おぐら・ひろゆき 東大経済学部卒。竹中工務店、ボストンコンサルティンググループ勤務を経て2009年、賃貸不動産業などを展開する会社を設立。16年、gooddaysホールディングスを創業、副社長就任。同社は19年東証マザーズに上場。東京都出身。