18日午後(日本時間19日早朝)に火星への着陸が成功した米航空宇宙局(NASA)の探査機「パーシビアランス」は、火星の岩石を集め、火星に生命が存在した痕跡の発見を目指す。2031年ごろに別の探査機で地球に試料を持ち帰る計画で、小惑星探査機「はやぶさ2」などで蓄積してきた試料回収・分析のノウハウで、日本も大きく貢献できると期待される。
はやぶさ2は昨年12月、小惑星リュウグウから地球に帰還し、試料が入ったカプセルは無事に日本にたどり着いた。初代はやぶさに続く成功で、サンプルリターン(試料回収)は日本のお家芸ともいえる。
東京工業大の藤島皓介(こうすけ)准教授(宇宙生物学)は、「サンプルリターンの実績では、世界でも日本がリードしている」と指摘する。試料が地球由来の有機物などに汚染されないように搬送してカプセルを開け、分析する技術が磨かれてきた。
さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、火星の衛星「フォボス」の試料を29年ごろに持ち帰る探査計画を予定している。藤島准教授は、「はやぶさ、はやぶさ2に続いて、さらに知見が積み重ねられているだろう」と期待を込めた。
パーシビアランスが着陸した「ジェゼロクレーター」は、30億~40億年前、水をたたえる湖だったとされ、運ばれた土砂が堆積した三角州のような地形がある。このような地形ができるには、100万~1000万年ほど水が存在している必要があるとされる。生命誕生に十分な期間、水が保持されていたと考えられ、微生物などの痕跡が残っていると期待されている。
探査機は土壌や岩石をドリルでくりぬいて集め、試験管のようなケースに集めて地表に保管する。紫外線などの影響を受けない地中には生命の痕跡が閉じ込められている可能性がある。試料の入ったケースは、後続の探査機が拾い集めた後、さらに軌道上の探査機に載せて地球に持ち帰る構想だ。