高論卓説

新型コロナワクチン接種開始 霞が関の管理システムに致命的「欠陥」 (1/2ページ)

 新型コロナウイルスのワクチン接種が始まる。まずは医療従事者が対象だが、その数は全国で370万人に上るとみられる。政府が4月にも開始するとしている高齢者向け接種の先行例として注目されるが、ここへきて大混乱が予想されている。

 厚生労働省は1回目の緊急事態宣言が明けた昨年夏から、ワクチン接種のためのシステム開発に着手した。7月には業者選定の入札が行われ、年末にはシステムの概要が地方自治体に説明された。ところがそこに大問題が潜んでいることが発覚する。

 厚労省が開発した「新型コロナウイルスワクチン接種円滑化システム(略称・V-SYS=ブイシス)」では、誰にいつ接種したかが把握できないことが分かったのだ。1日に何件の接種が終わったかもすぐには分からず、医療従事者が何件で、高齢者が何件かといった情報も知る術がない。厚労省用の資料にも「一元的な情報管理を通じてムリ・ムダ・ムラを予備的に排除し、予防接種の効率的、かつ着実な実行を支援するためのシステム」と説明されている。つまり、ワクチンを分配するためのシステムなのだ。

 今年1月中旬になってデジタル庁創設に関わってきた河野太郎行政改革担当相が、ワクチン接種の担当相に急遽(きゅうきょ)任命されたのも、このV-SYSの問題に官邸が気付いたことが大きいとみられる。河野大臣はV-SYSとは別に新たなシステムを立ち上げることを決めた。誰にいつ接種したかという情報を記録し、2回目の接種漏れや、将来予想される接種証明書の発行にも対応できるようにする仕組みだ。

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