現社長の田村武志氏が、祖父の創業した中川商工にアパレルの会社から転身したのが2005年。「社内にパソコンが1台もなく、パソコンを使える人もいない。まるで、置き忘れた過去にタイムスリップしたかのようでした」
伝票や台帳の作成などの事務作業はすべて手書き。見積もりや売り上げなどは電卓片手に計算する状態。製造現場は、従業員の技術や経験が頼りにされていた。生産のスケジュールも現場にゆだねられ、経営する側が明確には把握できていない状況だった。おまけに高齢化が進んでいた。
「これでは会社の将来はなく若い人にとっても魅力のある会社になってない。そのためには、会社のICT化を行い、会社の仕事の見える化を進めて若い人に魅力のある会社にしようと、決意しました」
■リコージャパンと二人三脚でICT化
しかし、古株の人たちの持つ固有の技術、顧客とのパイプは、会社にとっての財産でもある。なかなか一気にICT化への道が開けなかった。それに、小さな会社には社内にICTの専門家を求めるは無理だった。
「そんな時、前職の先輩からリコージャパンさんを紹介していただき、前担当の山口さん、現担当の清水さんに折に触れて相談に乗ってくれたり、私が関心のありそうなセミナーの案内をもらったりしながら、社内ICT化を進めていきました。当初は販売情報と在庫情報の紐付けのため製造業に特化した販売管理アプリを導入、最も効果を発揮したのは、納期を『見える化』する事で、何を優先すべきかがわかり、みんなが納得する形で作業の優先順位が出来ました」
■ICT化のおかげで若手社員への移行ができた
2014年に田村氏は、代表取締役に就任。
「経営者としてうれしかったのは管理する作業が減ってお客様に向き合う時間が増えたことです。ICT化を進める事で若手の採用が進みました。10年以上かかりましたが、確実に進化している、という実感が持てました」
リコージャパンのコンサルタントにアドバイスをもらって、製品の品質向上を最優先課題として取り組み、品質マネジメントシステムのISO9001を取得。ボトムアップ型の品質向上も進み、社員の意識も変わり、顧客からの信頼もアップした。
また、社屋も老朽化し手狭になったときに、ちょうどよい売却工場が見つかり、経理・総務といった本社機能以外の部門(製造・営業)を段階的に移転した。
あらたな事業所が本社と車で20分ほどの距離にあり、本社の棚に保管している文書等の閲覧がすぐにはできないため、複合機で紙文書をサーバーに保管することで、ネットワーク経由で新しい事業所でもすぐ見る事ができるようになった。
■2017年からは、生産部門へのICT活用にも乗り出した
(提供 株式会社リコージャパン)