生き残りをかけた「鯖威張る(サバイバル)弁当」や、サングラスなどをセットにした「お先真っ暗セット」といった多くの“自虐ネタ”商品を販売してきた銚子電鉄。中でも、200万本以上が売れるヒット商品となったのが、“まずい”経営状態から脱却しようと2018年から販売しているスナック菓子の「まずい棒」だった。
「わさび味」のパッケージには、車両が古く錆(さ)びが浮いているということなのか、「わ、、錆…!」の駄洒落とともに自転車にまたがる鉄道員のイラストが描かれている。「電車」を運行する鉄道会社が「自転車操業」に陥っているという皮肉。最初に発売された「コーンポタージュ味」は、「破産はイヤ、イヤ」という語呂合わせで8月3日の18時18分から販売を開始するという力の入れようで、まさに“自虐ネタ”のオンパレードだ。
こうした商品のアイデアの源泉は竹本勝紀社長だったという。鈴木課長補佐は「もう社長の執念です。日常の会話でも自虐っぽい話題が出て、『それいいね!』という感じで商品が生まれます」と明かす。銚子電鉄は銚子駅と外川(とかわ)駅を結ぶわずか6.4キロの路線。通勤通学客のほか、犬吠埼などへの観光客の輸送に利用されているが、コロナ禍の影響は大きく、運賃収入は前年比約8割減と厳しい状況が続く。
「運輸サービス業ですのでお客さんが来ないと勝負になりませんが、後ろ向きではなくポジティブに。なんとかして商品をネットで販売していきたいです」と鈴木課長補佐は前を向く。
逆境をも笑いに変える鉄道会社の“自虐ネタ”商品には、地域の足を何としても存続させたいという、公共交通を担う鉄道員の熱い思いが詰まっている。